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さん。
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まーさんと、ごはん………。
だらしなく頰を緩めて、僕は1人でクスクスと笑う。
「おい、天宮。今日はすげぇ機嫌いいな。
何かいいことでもあったのか?」
先ほど店に来た鹿野さんが、俺の表情の緩さに気づき質問を投げかける。
うん。と言ったらしつこく聞かれそうだったので、僕は上手く話を流した。
「……いいえ。特に何もないですよ。
それより鹿野さんは元気がないみたいですね。
何かあったんですか?」
「……あぁ、聞いてくれよ。今日はな、めちゃくちゃ読みたかった小説の発売日だったんだ。
なのにその小説、すこぶる人気らしくて……。どこも完売しててさ。
もう俺のテンション下がりまくり。」
はぁぁ……と深い深いため息をついて、彼は俯く。
背後からは負のオーラが漂っているように見えた。
「鹿野さん、本当に本が好きなんですね…。」
「当たり前だろ。I love 本、だぜ?
本が好きすぎて家中、本だらけだ。」
「……………。」
I love 本……。
なぜ、本だけ日本語なんだろう……。
(bookにすればいいのに……。)
「だからこの店のコーヒーでも飲んで、元気をだそうと思ってさ。
色んな店でコーヒーを飲んできたが、ここの店は格別に美味しい。」
「へぇ、嬉しいな。そんなに褒めても、コーヒは奢ってやらないぞ?鹿野。」
「別に奢ってもらいたくて、言ったわけではありませんし。無償でくれても迷惑です。」
「そう?じゃあ今、俺が手にしているこのサンドウィッチは他の誰かにあげようかなぁ。」
そう言ってまーさんが出してきたのは、白いシンプルなお皿に乗ったとても美味しそうなサンドウィッチ。
「はぁ!?」
「まだ試作品段階だから、鹿野にあげようと思ってたのに…残念だ。」
わざと落ち込んだ表情で、まーさんは手に持っているサンドウィッチを奥に引っ込めようとする。
「いります!いりますよ!
コーヒーと一緒に食べますから!!」
「えーー?だってさっきは…「あれは意地を張っただけですっ!このサンドウィッチは俺のだ!」
焦ったように鹿野さんは、まーさんからサンドウィッチを取り上げて睨む。
まるでおやつを取られまいとしている子供みたいで……。
まーさんは彼をいじって満足したのか、喉を鳴らしてクククッと笑っている。
……2人とも、大人気ないですよ。
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