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嫉妬か、義彦さん
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授業もなんなく終わり、昇降口を出ると、理仁が後ろから肩を叩いてくる。
「ん、なんだよ、理仁」
今日は五時から卵のタイムセールなんだからはやく行きたい。スーパーのタイムセールっていうものは戦争に近いし、おばちゃんたちに負けぬよう最近は時刻、場所、内容等を暗記している。
今日はスーパでは卵、向かいの肉屋でひき肉が特売であった。
少々、いらつきながら後ろを振り返って聞く。
――はやくしてくんねえかな……。
「お前、足速すぎ。一緒に帰るって今日、約束しただろ?」
……そうだっけ?と自分の言動を思い出しながら振り返ってみるが、そんなことを言った覚えはない。
首をかしげていると、いいからっと言う風に俺の肩を押す。
「だいたい今日なんか用事あんの?そんなに急いでさ」
渋々頷いて正門までの足を進めていると、隣に並んだ理仁が聞いてくる。
用事ってスーパーのタイムセールだよとは言えない。理由がおばさん臭すぎるし、これじゃあ主婦やってんの、バレバレじゃないか……。
押し黙りながらも、別にとだけ伝えておくことにする。
「なんだ、あの人だかりは……?」
グランドの方を向いて理仁から目をそらしていた俺は、彼の言葉でまた正門の方に向く。
正門周辺には女子の人だかりと黄色い声。その中心には――
「……ママ!!」
近衛義彦、そう彼が俺の方を見てそう呼びながらかけてくる。
果たしてこれが現実だというのか、いやそうではないと誰か言ってくれっ!!
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