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「星、どうする?」
オレの幼い頭では、答えなんて出てこない。
なんでこんな事になってるのか、そもそもこの人は誰なのか………知りたいけど、この人に何されるかわかんないし。
教えてもらう代わりに、いいなりとか意味わかんないよっ!!
いいなりになったとして、もしも人を殺せとか言われたらオレどうしよう。もしも、もう二度とこの家に帰って来れなかったり、外国に売り飛ばされたり、この人に殺されりしたらどうしよう。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
色々と考え過ぎるあまり、フリーズしてるオレを横目に、男は男の物であろうシャツを着て、栗色の髪をかきあげた。
兄ちゃんと違う、ふわりとした栗色の髪が光に照らされて、こんな状況なのにオレは綺麗だなって思ってしまった。
……なんか、わかんないけどドキドキする。
部屋の窓からは、暖かい春の風と共に桜が散ってゆくのがみえる。
もう何がなんだかわからないオレは考えるのをやめて、ぐっと唇を噛んでだまりこんでしまった。
「あぁー、んな顔しちゃって。唇切れっぞ」
誰のせいだよって言い返してやろうと思っても、オレはこの状況についていけていない。
「……」
結局。何もこたえずに、オレは視線だけを男に向けてみた。オレの長い前髪が邪魔をして、男の顔はよく見えなかったけど。
その時の男の顔は、とても優しく笑っているように見えて……。何故だかさっきまで感じていた緊張感が、ふっと解けていく感じがした。
黙ったまま見つめるオレの唇に、男はそっと触れてきて……。
「お前を悪いようにはしねぇーよ、約束する」
真剣な瞳で見つめられて、オレは視線をそらせず、ただじっと男を見つめる。
こんな近い距離で話をされるのは、家族以外で誰もいない。幼馴染みの弘樹でさえ、こんなに近い距離で話す事なんてないのに。
そもそもなんで見ず知らずのこの人が、オレにこんな事を言うんだろう?
オレの思考はさっきからフリーズしっぱなしだった。
「……俺の事知りてぇーんだろ?」
男はオレの耳元で甘く囁く。
「……んっ」
オレは魔法にかかったかのように、耳元で囁く男の言葉にゆっくりと頷いていた。
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