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「今日は色々と、俺に付き合ってくれてありがと。ユキちゃんと話せて楽しかった。ごちそーさまでしたっ」
会計を済ませて店から出ると、光は深々とお辞儀をして俺に礼を言ってきた。
「別に。お前のわがまま王子ぶりには慣れてるから、構わねぇーよ」
「わがまま王子なんて失礼な。これでも皆んなからキラキラ輝く王子様って言われてるだよー?」
「さようでございますか、王子様」
「さようでございますよー。あ、ユキちゃん電車だよね?改札まで送ろうか?」
俺の家は、光の家の最寄り駅から電車で2駅目の辺りだ。普段なら車を出すんだか、今日は最初からなんとなく光の家まで行くつもりでいた為電車を使った。
「お前に送ってもらう程、俺はひ弱じゃねぇーよ。それより早く星くんにシュークリーム届けてやりな」
光はシュークリームが入った紙袋に視線を落とすと、ふわりと笑って「うんっ!」と頷き、俺に背を向けて猛スピードで走り去っていく。
さっきまで流れる様に酒呑んでたのに、あんだけ走れるってすげぇーな。さすが酒豪の光くん。
俺も帰るか。
電車に揺られながら、窓越しの景色を眺めていると小さな公園で花見をしている人達が目に留まった。
桜かぁ……。
もう散り始めてるけど。
アイツの部屋から見た桜は綺麗だったな。
今日、初めて会って。
今日、初めて触れて。
今日、初めてキスをして。
今日、初めて俺は初恋をした。
……………みたい。
恋とか愛とか、俺には無関係だと思ってたのに。
光に色々言われて、そうなのかもしれないと。
確かに俺は、初恋をしているのかもしれない。
まだ何も知らない純粋な男の子に。
俺ってすげぇー変態かも。
降りる駅に着いた俺は、そんな事を思いながら家へと向かって歩き出した。
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