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そっと離れた唇。
その唇から掠れた声が聞こえた。
「…………星だけ」
「えっ?」
白石さんは、手に持っていた煙草を下に落として踏み潰し、携帯灰皿へとしまう。
「だから。お前だけって言ったら………どうすんだよ」
「白石さん……?」
オレの肩に頭を乗せて。
「教えて欲しいんだろ?」
白石さんはそっと呟く。
「可愛いって思うのも、女とか男とか関係ねぇー。意地悪も優しくすんのも。俺から人に触れたのは星、お前が初めてだ」
「嘘……」
「嘘ついてどーすんだよ」
白石さんはクスリと笑う。
首筋にふわふわの白石さんの髪が当たってくすぐったい。
「ランの店に連れてったのも、光と優以外ではお前が初めて。俺の家に入ったのはお前だけ。なんなら、俺のベッドで一晩寝たやつなんて今までに誰もいねぇーよ」
なんで。
どうして。
「なんで………」
「それは俺が知りてぇー」
「あ、あの……オレ……っ?!」
ポツポツと小さな雫が空から落ちてくる。
「チッ、雨降ってきやがった」
白石さんはそう言って、ジャケットを脱ぎオレの頭の上からバサッと被せる。
「ちょっ……白石さんっ?!」
ジャケットからは白石さんの匂いがして。
「行くぞ」
「えっ?あ、ちょっと……」
オレの手は大きな白石さんの手に掴まれて。
駐車場までの道を歩く白石さんの後ろを、オレは早足で追いかける。
ジャケットは被されたまま。
掴まれていた手は、離れないようにぎゅっと繋がれていた。
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