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コインランドリーの乾燥が終るまで40分。
煙草を咥えて車の中でボーッとする。
あんなに泣いて。
光が好きなのに。
俺に触れられて気持ちいいと告白され。
可愛い顔して感じまくって。
俺の欲も受け入れちゃって。
サンドウィッチ作ってくれたら許すとか。
挙げ句の果てに俺の腕ん中で眠っちまうし。
んー。
どう考えても。
俺の事が好きな様にしか見えないんだが…………。
でもアイツは光が好きだって言うんだよなぁ……。
星。
俺も色々わかんねぇーよ。
唯一、俺がわかる事は。
どーしよーもなく星に惚れてるって事。
はぁ……。
気づいちまったら止まらねぇーよ。
恋愛ってこんなにモヤモヤするものなのか………。
そんな事を考えているとスマホが震えた。
着信はランからだ。
とりあえず俺は電話に出る。
『雪夜、今いいかしら?』
「あぁ?」
『今日は星ちゃんをお店に連れてきてくれてありがとう。本当にとっても素直でまっすぐないい子ね………容姿も光ちゃんとはまた違う愛くるしさがあって。貴方が惚れたのも、納得したわ…………』
「……だろ?」
『それにしても、雪夜にあんな独占欲があったなんて知らなかったわ?。私が触れるだけで妬いてたら、貴方この先やっていけないわよ?』
「………うるせぇー」
『……あのね、雪夜。星ちゃんの事はひとまずおいといて…………光ちゃんには早いうちに貴方の気持ち、ちゃんと伝えておいた方が良いと思うの。あの子、人一倍勘が鋭いから……………きっと星ちゃんと貴方の異変にすぐ気付くハズよ。もしかしたら、もう勘付いてるかもしれないわ………』
「………確かに」
『…………光ちゃんが拒めば、貴方は星ちゃんと関わりを持てなくなるかもしれない。雪夜は大事な友達も、初めて自分から愛したいと思った人も、どちらも失う事になるかもしれないの…………』
………ランの言う通りだな。
「それでも………俺はアイツが好きだ。光に駄目だと言われようが、嫌われようが、軽蔑されようが。もし光に殺されたとしても、それでも俺は星がいい。アイツじゃねぇーと駄目なんだよ。アイツが俺を拒まない限り、俺は星を求め続けると思う………」
「雪夜…………」
電話越しの、俺を呼ぶランの声は震えていた。
『…………私は何があっても貴方の味方よ。それだけは忘れないで』
ランはそう言って電話を切った。
ランはきっと。
俺と、自分自身を重ねているのだろう。
昔。
1度だけ話してくれた。
ランが願った。
なんでもない幸せ。
叶わなかった想い。
ランが心から愛した相手は。
もうこの世にはいない…………。
どうにでもなれと。
そう思っていたけれど。
どれだけ俺は。
浅はかだったんだろう。
ランは昨日。
俺に忠告してくれたのに。
それでも。
俺はきっと。
星を求めずにはいられない。
「俺は………星が好きだ」
誰もいない車の中で、俺は静かに呟いた。
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