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家に帰ると、母さんと父さんは出掛けていて。
リビングには兄ちゃんしかいなかった。
「ただいま、兄ちゃん」
オレを見た兄ちゃんの顔から笑顔が消える。
「……お帰り、待ってたよ」
兄ちゃんはそう言って、帰ってきたばかりのオレの腕をぐっと掴んできた。
「痛ッ……兄ちゃんっ、離しっ…!!」
なんで帰ってきていきなりこんな事するの?
兄ちゃんが普段怒る事なんてないのに。
「せい?2泊3日で何処行ってたの?」
初めて聞く。
低い声。
この人。
本当に兄ちゃん……なの?
聞いたことのない声と、オレを見る冷たい視線。
「えっと……弘樹ん家………」
恐る恐るそう答えたオレの腕を、兄ちゃんは更にぎゅっと強く握る。抵抗しようと動きたくても、兄ちゃんの力は思ってた以上に強かった。
「兄ちゃんっ!!痛いっ……」
「せい、俺に嘘はいけないよ?」
兄ちゃんはそう言うと、掴んだ手を離さずにオレをソファーへと押し倒す。
「ッ!!……兄ちゃんっ!」
切れ長の瞳が、じっとオレの事を見つめている。
それはまるで心の中を覗き込むように。
「…………ユキと、どうやって知り合った」
ユキ………?
そんな人知らない。
オレが一緒にいたのは白石さんだけ。
泊まっていたのも、白石さんのお家なのに。
「ユキって誰っ? オレ、わかんないよ!!」
オレは必死に抵抗する。
けど、やっぱり兄ちゃんの力は強くてビクともしない。
「……白石雪夜と何処で知り合って、どういう経緯で首にキスマーク付けられてんのか、俺に説明しろって言ってんの」
「ッ……」
兄ちゃんは、オレが見た事のない笑みを浮かべて、ニヤリとオレの名前を呼んだ。
「せい」
オレが知っている兄ちゃんは。
何処にもいなかった。
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