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「もうっ!!白石さんも兄ちゃんも大っ嫌いっ!!」
星は怒りながら俺から離れていく。
「うわぁー、ユキちゃん速攻でフラれてるぅー!!!あれだけイチャついてたのに、フラれるとかマジかっこわるぅー!!」
「光、お前本当うぜぇー」
星は怒って俺に嫌いと言ったが。
「星、ごめんって。今度お前が食べたいものなんでも作ってやるから、嫌いとか簡単に言うな」
俺がそう言うと星の機嫌は簡単に直った。
「白石さん、それホント?」
「おう、約束してやるよ」
やっぱりコイツは料理に弱いな。
「えっと……じゃあ今度はナポリタンが食べたいです。ちゃんと下に薄焼き卵があるタイプのやつ」
星は鉄板ナポリタンの事を言っているのか?
「あぁ、それ母さんの得意料理の1つだね。いくら料理が得意なユキちゃんでも、母さんの味に勝つのは難しいと思うよ?頑張ってね、ユキちゃん!」
星はにっこり笑いながら、お願いしますと俺にお辞儀をする。
「せい、ユキちゃん家に泊まるのは構わないけど、母さんに嘘つくのは良くないよ?俺の友達の料理上手い奴から教えてもらう為って、母さんには俺からも話しておくから」
「ありがと、兄ちゃん」
「やっと、せいの笑顔が戻ったね」
にっこり笑う星の笑顔が愛おしい。
丁度1週間後に鉄板ナポリタンを作る約束をして、俺は名残惜しく星の家を後にした。
車に乗ってドッと疲れが押し寄せる。
ふと後部座席を見ると、雑貨屋で買ったぬいぐるみが可哀想に転がっていた。
あぁ。
本物がずっと隣にいたから、コイツの事すっかり忘れてた。折角取り置きまでして買ったのに。
ごめんなぁ。
家に帰り、感じた事のない寂しさを覚える。たった2日間星がいただけ。ただそれだけの事なのに、今まで狭いと感じていた部屋が、少しだけ広く感じた。
いつも通りの部屋で星の温もりを思い出しながら、疲れきった俺は倒れる様に眠りについた。
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