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「セイ、とりあえず座ろ?」
弘樹はオレをベッドに座らせ、横に並んで腰掛けた。
どのクラスでも授業が始まり、さっきまで騒ついていた廊下も校庭もシンとしている。カチカチと時計の針の音だけが、やたらと大きく聞こえてくる気がした。
「……月曜日。俺がどうしたのって聞いた時、セイは虫に刺されたって言ったけど。本当はそれ、キスマークなんだろ?」
「…………………」
なんて答えたら良いのか、わからない。
黙ったままのオレに、弘樹は話を続ける。
「セイを連れてショップになんか行くんじゃなかったって………すごい後悔してる。キスマークつけたのって、あの時一緒に行ったショップの店員だよな?」
「…なん……で………」
なんで。
どうして弘樹が知ってるの?
「……日曜日の昼間にさ。買ったシューズ試したくて、ジョギングしながらセイの家の近くのコンビニまで行ったんだ。そしたら奥の駐車場に黒のBMWが停まってて……この間の、ショップ店員の兄さんらしき人が乗ってたからビビった」
弘樹は力無く笑う。
「あの兄さん、BMWなんか乗ってんのかよって思ったけど。昼間から堂々と、彼女と車内でイチャつけるとか。なんかムカつくけど、イケメンがするとやっぱカッコいいなって………」
BMW?車?オレ、車興味ないから全然知らない。でもお兄ちゃんのお古って言ってたから、白石さんが好きで乗ってるわけじゃないと思うけど。というより側から見たらオレ、イチャついてるように見えるの?
「その彼女っつーか、イチャついてたコが黒髪でさぁ。角度的によく見えなかったんだけど。なんか結構ボーイッシュな感じで。あの店員、ああいうタイプが好きなんだなぁって思って見てたら。車から出てきたの………………セイだった」
あぁ、弘樹はコンビニでオレと白石さんをたまたま目撃してたんだ……………。
「あの時だろ?これ、つけられたの」
弘樹はオレの首筋に触れてくる。
「んっ………」
「大分薄くなってきたけど。あの店員となんでそんなコトしてんの?」
「弘樹には……関係ない………」
オレは弘樹から視線を逸らす。
「んじゃ、質問の仕方変える」
「はぁ?」
「俺は……ずっと昔から男としてセイが好き。なぁ、好きな相手でも関係ないコト?」
「………え?」
白石さんがつけていった。
たった1つの小さな赤い痕。
オレは、その小さな痕に狂わされていく。
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