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「せい可愛いー。お酒、飲んでないのに顔真っ赤だね。どうする?俺たちの前で自分からユキちゃんにちゅーする?恥ずかしがり屋のせーいーくーん?」
「で、出来るわけっ……ないじゃん……」
「おい、光。星は見せ物じゃねぇーぞ。星、酒飲んでみたいなら、今度俺ん家にいる時にいくらでも飲ませてやるよ。だから光からもらうのは止めとけ」
白石さんは俯いたオレに、光にもらえって言った俺が悪かったと言って、沢山の料理を少しずつ1つのお皿に取り分けてくれている。
「えー!!つまんないっ!!」
兄ちゃんは持っていたグラスの中身を全て飲み干すと、ブーっと膨れっ面で白石さんを睨んでいた。
不貞腐れている兄ちゃんの肩を、ポンポンと優しく撫でる優さん。
「光、星君が可哀想だ。これ以上は止めてあげなさい。王子様の命令に従うのは、俺だけで十分だ」
王子様って兄ちゃんの事……?
確かに兄ちゃんは王子様って呼ばれてたけど、優さんが言うとなんだか兄ちゃんの執事さんみたい。
「優ってば本当、良い子だねっ」
「何処が王子様だよ?綺麗な顔してて、ただ金髪がやたらと似合うだけじゃねぇーか。わがまま王子っていうなら、光で間違いねぇーけどなぁ?」
「ユキちゃんだって、ただの俺様変態野郎クセにっ!!」
「光、あまり騒ぐな。ほら、おいで王子様。次、何飲むか決めよう」
優さんは兄ちゃんにアルコールのメニューを見せると、兄ちゃんと一緒に次のドリンクを決めていた。
優さんに王子様と呼ばれてすっかり機嫌が直った兄ちゃんは、それからずっと上機嫌でお酒を飲んでは笑っていた。
美味しいご飯をいっぱい食べて、すっかり満腹になったオレに、じわじわと睡魔が襲ってくる。
兄ちゃんと優さんは2人でスマホを見ながら、お泊まりに持っていくものを色々と調べているし……。
白石さんは、食後の一服で煙草を吸っている。
優さんに向けて笑う兄ちゃんはとても綺麗で幸せそうで………そんな兄ちゃんを見ていたらなんでかわからないけど、オレは兄ちゃんがとても羨ましく思えて………。
オレは食事を終えて煙草を咥えながら、ゆったりとソファーにもたれかかっている、白石さんの手にそっと触れてみた。
「星?」
少し驚いた様子でオレの名前を呼ぶ白石さんに、オレはボソリと呟く。
「ねぇ……噛んで………いい?」
それはお店に流れる柔らかい音楽にさえ、消し去られてしまうような、小さな小さな声だったのに……。
白石さんは煙草の火を消すと、ふんわり笑って好きにしていいよって言ってくれたんだ。
カプッと白石さんの右手に噛み付いたオレに、白石さんは相変わらずいてぇーなって笑って、空いた左手でオレの頭を撫でてくれる。
目の前には優さんと兄ちゃんがいるのに。
どうしよう………すごい幸せ。
オレは白石さんの耳元で大好きですと小さく囁き、白石さんの肩に頭をあずけて襲ってきた睡魔に身をまかせた。
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