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そうは言うものの、ちゃんとした服を着て
待ち合わせ場所へと向かった
周りはカップル達が肩を抱き合いながら
幸せそうに歩いて、視線を変えれば隠れてキスをしている人達もいる
「幸せそうやなぁ…」
たまに羨ましく思う
堂々と手を繋いで、肩を抱いて、キスをして。
自分には到底及ばない現実
「夕成君」
「わっ…!」
周りに気を取られ、突然後ろから彼の声が聞こえて思わず肩を揺らして驚いた
「ごめん待った?」
「いえっ…さっき、来たとこ、です…」
視線を合わせられない
変な妄想が膨らんで会いたかった彼を見ることが出来ない
「どした?」
「いえ、何でもないです…」
「ふーん」
「……」
出会って間もなく沈黙が流れた
「なんか夕成君って面白い子やな」
「へっ?」
「初めて会うた時もそうやけどシラフの時も今も、なんか全く掴めやん子やわ」
「それ、って……」
変なヤツやと思われてる…?
うわあかん、泣きそう
でもここで泣いたらもっと変なヤツになってまう
堪えろ自分!
「腹減ってない?メシ行かん?」
「稑さん……俺、聞きたいことがあります」
「ん?」
「さっきの、女の人…本当に友達なんですか?」
やっと見れた彼の顔は相変わらずカッコいい
ただこの質問をぶつけた時表情が少し強張った
「そうやで」
「せっ……セフレ、ですか?」
「それ聞いてどうすんの?」
「……いや、その……」
はは、と軽く笑い、すみませんと言った後
堪えていた涙が流れ出し
手で必死に拭っても止まらなかった
ほんまに聞いてどうするつもりやったん俺は
情けない、ほんま情けない
「ごめんなさい………気になっちゃって、ごめんなさい…」
夕成の泣き声に周りが少しざわめき出した
通り過ぎるカップルにこそこそ何かを言われている
「夕成君、場所変えよっか」
「いや、いいです…すみません、俺帰ります…ごめんなさい…」
手で顔を隠し稑に背中を向けて帰ろうとした時
腕を掴まれて引き止められた
「夕成君、ほんまに帰んの?」
「稑さんごめんなさい…今、顔見れない…」
「せっかく会えたのに」
「そんな言い方しないで下さいよ、なんでそんな」
「帰るん?」
本当にずるいなぁ、この人。
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