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君がいて俺がいる2 『補習より部活!』(木赤)
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「…無理です」
「そこを何とか!」
「無理なものは無理です」
「大丈夫!お前なら出来る!気がする!」
「木兔さんは俺をなんだと思ってるんですか?」
呆れた目で見てるにも関わらず、目の前の人物はまるで神頼みでもするようにパンっと両手を合わせた。
「あかーしさま!その頭の良さでヤマを張ってください!」
「…ですから、いくら何でも2年の習ってもない勉強のヤマなんて張れません。それこそ木葉先輩とかに聞いた方が…」
「いや、ほら、何てゆーか、あいつらはさぁ…」
「何ですか」
ごにょごにょといつに無く語尾に覇気がない木兔の次の言葉を待つ。
「…諦められてるというか、取り合ってくれないっていうか…」
「……どれだけ迷惑かけてるんですかあなたは」
さすがの赤葦も若干引いた。その様子にだってよ!と必死に弁解をする彼の言い分はどう取っても木兔の理解力の無さに音を上げたという事だった。
赤葦は何度目かのため息を吐きだし、しょぼんと座っているいつもよりかなり小さく見える先輩の前に座った。
「もう一度教えてもらえるよう頼みましょう。俺も付き合います」
「…でも…」
「補習で部活出れなくなってもいいんですか?」
「それはヤダ!」
ぜってーやだ!と立ち上がる木兔にほっと胸をなで下ろした赤葦は、後ろでドアの開く音がしたので振り返ると見知った顔が覗いていた。
「あ!やっぱここにいた!」
「ホントだ」
「木兔ー探したよー」
木葉、小見、猿杙の順に顔を出して、どかどかと部室に入ってきた3人は、赤葦を見てすまなそうに笑った。
「悪かったな。木兔なんかの世話させて」
「なんかって!?」
「お前なぁ、後輩に拝み倒すとか先輩としての威厳はねぇのか!」
「その前に後輩に勉強の教えてとか思いつかないよねー、普通」
「お前ら!よってたかってヒドイぞ!俺だって傷くつんだからな!」
「「「それはないだろ」」」
「ひでえ!!あかーしー分かっただろ!こいつらひどいんだよー!」
「だ、か、ら!困ったからって何でも赤葦に縋りつくな!」
木葉がミミズク頭を押さえつける横で、猿杙がすまなそうに言葉をかけた。
「悪いねー、赤葦。木兔の面倒ごとは居残り練習だけでいいって感じだよね」
「あ、いえ。勉強はさすがに無理ですが、居残り練習は面倒だとは思ってないんで」
嘘ではなく本心でそう答えると、3人は目を丸くして、そして笑った。
「木兔並に練習バカがいるとは思わなかったな!」
「木兔みたいに…なるわけないと思うけど、無理は禁物だぞ?」
「また木兔が馬鹿なこと言い出したら遠慮なく連絡してよ。首根っこ掴んで連れてくから」
「お前ら!ホントいい加減にしろ!俺は大いに傷ついた!!」
うわああ!と床に突っ伏す背を、3人はハイハイと呆れつつ叩きながら慰める。
「今度こそちゃんと、俺達のいうこと聞けよ?」
「う、ハイ」
「途中で投げ出したら俺達も見捨てるからなー」
猿杙の笑顔での釘差しに、さすがの木兔もガンバリマスと呟き、頷いた。
あっさりと解決した問題に、赤葦は今度こそ安堵のため息を吐いて、改めて3人を見る。
「木兔さんを、よろしくお願いします」
そう言って軽くお辞儀をする律儀な後輩に、木葉は細い目をさらに細めて笑ってその肩を叩いた。
「安心しろ!木兔が補習で部活出れなかったら俺が練習付き合ってやるよ」
「あ、それ助かります」
「あ、じゃあ俺も俺も!スパイク拾う!」
「楽しそうだから俺も混ざろうかなー」
盛り上がる4人に、木兔がたまらず叫んだ。
「ぜってー補習になんてならねーからな!!赤葦は俺と練習すんだかんな!!」
「…わかりましたから、補習にならないよう頑張ってください」
「おうよ!」
『『『ほんと木兔って単純』』』
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