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テーマ「べ」 ベテラン
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べ→ベテラン
「多作のひみつ」
師匠は職人のライターだった。
みなさんがよくご存じの刑事ドラマと時代劇、大半に関わっておられた。
書斎には立派な書架があるのだが、そのどまんなかが両開きの、素通しガラスのキャビネットになっていて、師匠の作品の根幹なす、パターン作が置かれてるのだ。
会議から戻った師匠はまず、キャビネットの前に立つ。
若い刑事が被疑者の女性を好きになる…
あれだな。
別の会議から戻ると、またキャビネットの前に立つ。
岡っ引きが横暴な同心に苦しめられる…
あれだな。
後は名前を依頼の作品に合わせるだけ。
台本印刷の会社にもよくご迷惑をかけてた…
以前の脚本の名前が残ってたりしてね。
直しときましたよとか、よく電話貰ってた。
私?
私はキャビネットは使ってないよ。
スマホ一台で足りるもの。
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