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きょ→距離
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きょ→距離
「災い」
距離置こうって言ってみた。
だって朝から夜中までライン責め。
男名前のアドレス、TEL、全部消させられて、こないだなんて中坊に道聞かれて教えてたら殴られた。
最初は愛だと思った。
会社の人に言われた。
それは愛じゃない。
所有だ。
そいつから離脱するの難しいよ。
必死に距離を置いた。
実家にこられて裏から逃げた。
護身用にビクトリノックス持った。
なのに。
なのに月の夜。
私はつい寂しくなった。
自分からかれをさがし、会いに行った。
かれは別の人といた。
お茶を飲んでるだけだったけど、怒りは私を燃え立たせた。
ビクトリノックス握り締めたけど誰に使う。
彼に?
一緒にいる女に?
そんなことして何になる。
何になる……
会社へ行った。
私はとうにやめている。
昼食(ちゅうじき)に出てきた彼女は、私に気づいて軽く手を上げかける。
その脇腹にビクトリノックス深々と突き立てたら、
何か気持ちが軽くなった。
同心円状に広がっていく紅。
昔から言う。
口は災いのもと。
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