アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
、
-
段々と外に出しっぱなし、触りっぱなしのカイロはぬるくなってきて、そこで舞那ちゃんに返したら触りすぎだと怒られた。俺今日舞那ちゃんに怒られたの3回目。
良いじゃん。舞那ちゃんずっと触っとけるんだから俺にちょっと貸してくれたって…。
「先輩のはちょっとじゃないですって…!」
「…む」
「温くなったでしょ、ほら再開してください」
「かえりたい」
「駄々捏ねない」
…厳しい。2代目桐華さんだな。これが来年・再来年になれば鬼になってるのか…。…なんて。
今日は特に寒く、しろと言われても動く気になれない。そうして縮こまったままでいると「メニュー磯辺先輩に頼んでキツいのにしてもらいますよ」と4度目のお叱りともに冗談にならない脅しをされ俺の足はグラウンドの方へ。桐華さんの鬼メニューは鬼を通り越してる。閻魔大王級だ。
頑張って2km走ったが、やっぱり寒いものは寒かった。俺冬に野外活動向いてない。冬眠したい。
「先輩運動神経良いのに寒がりすぎなのが玉に瑕ですよ~…。筋肉動かしたら絶対温くなるのに…。ていうか先輩の代謝ってどうなってるんですか?人未満なんですか?」
「…ズバズバとくるなあ」
まさかの俺人外説。
爽やかそうな顔して言うことが酷いなこの子。桐華さんよりも言ってることキツい時あるぞ。
「運動部にここまでの寒がりは私が知ってる限りでは居ないので。だって普通はこのくらいの寒さなら先輩のメニューこなしたら温くなってるはずですよ?先なんて2キロですよ2キロ。本当に南国育ちなんですか?」
「…南国…」
良いな、南国。できれば俺も南国に暮らしたかった。そこでならこんなに着なくても良い。南国って俺に合ってると思う。例えばオーストラリアとかさあ。
「それは良いとして、休憩してばっかじゃなくて体動かしてくださいよ…ずっと動かしてたら温かくなりますからぁー…」
「その段階に行く前に寒さに挫折すると言うか」
「そこで挫折しないでくださいよ、もー…!」
俺が悪いんじゃない。折れてしまう位寒いのが悪い。
「狼城君、千歳さんを困らせない」
「…ああ?」
「せんせ~…!ちょっともう聞いてくださいよー!!」
間に入ってきた涼に舞那ちゃんが助けを求め俺が真面目にしてくれないやら寒さに弱すぎるやら今までのやり取りを愚痴る。時々刺のある言い方だったのは気のせいであって欲しい。
「…へぇ、狼城君サボりは良くないですね」
「あ゛?ちゃんとしてんじゃねぇかよ」
「貴方は休憩が長過ぎるんですよ」
ことの全てを聞き、涼が笑顔で詰め寄ってくる。
その笑みは教師の涼がよくする笑顔…なんだけど普段の涼を見てきたからその笑顔に別のものも含まれていると察知でき、嫌な予感しかしなくて後退る。
「…ぁ…」
壁に、ぶつかった。もう逃げ道はない。
段々と近づいていく涼の顔。そこにはもう仮面は取り外され、Sな笑みを浮かべる涼がいた。
「…っ、…?!」
耳に涼の唇が触れ、ふうっ、と息を吹き掛けられる。
「…おい…っ、離れろきめぇ」
こんなに近ければ俺らの関係がバレてもおかしくない。げしげしと涼の足を蹴って抵抗するが、涼が離れてくれる気配はない。
「…ふふっ、かわい」
「あぁ?」
「昴流はえっちな運動の方が好きだもんね。俺の腕の中で腰揺らして…」
「は…?」
「嗚呼…、俺に温かくしてって誘ってた?ごめんね、今は走って我慢して?」
「な…なな…っ」
俺にだけ聞こえるように、小さな声で囁かれたそれに顔に熱が集まっていく。
何だよそれ、俺がき、期待してた…みたいな言い方…!!してねぇし!
嫌な予感の正体はこれかよ…!
「はい、ということでこれは没収です。部活終わったら返してあげます。手間取らせないでください」
「え…あっ…かえ、せ…!」
いつの間にか涼の手に移動している羽織っていたコート。
返せと涼を睨むが教師に戻ったこいつはにこりと笑うだけで「では頑張って」と一言告げ、他の生徒の方に行ってしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
567 / 1113