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以前俺を襲ってきたやばい奴らが今回の『赤』ーーこいつらと関係あるのかは不明だが、朝生田が喧嘩せずに逃げろって言ったのはこう言うことだったのか。こいつらは喧嘩になると何するのか分かったもんじゃねぇから、闘わないのが得策だと。マジで、最初っから言って欲しい。それならもっと対策練れてただろうに。あいつ肝心なとこ言わなすぎ。俺より説明下手糞なんじゃねぇの。
「っおい…?!糞、昴流大丈ーー…っ、が、」
多分威力は弱かったんだと思う。暴れるほどの痛さではないしじっとしていれば痛みはすぐに引いてきた。そこで今の、地面に両膝付いている状態がかなりまずいことに気がついて、まだびりびり痺れを感じたが急いで立ち上がろうとする。
丁度その時、隣から呻き声がした。咄嗟にそっちの方を見ると、1人が愁の首を絞めていて。ゾッとした。だって、その絞め方は本当に殺す気でいるようなもので。
「やめ、ろ」
「あァ…?」
まだ自分指でさえ上手く動かせなくて、喧嘩なんてそれ以前の問題。それでも助けないといけないと本能的に思ったのか、愁の首に触れる腕を、全く力の入っていない手で掴んだ。
「へェ…?こいつがそんなに大事か?」
「それ以上、したら殺すぞ」
ニィ、と俺を見て笑うそいつに、殺気を送る。これは、本気だ。決して冗談のつもりで言った訳じゃない。殺意が湧くことなんて殆どないけれど、今回ばかりは話が別だ。
「必死になってかぁわいいなァ…」
「あ?」
「クク…ほら、返してやる…っよ」
「っ…?!」
「…っげほ、が…っは、」
俺の殺気を男は笑って流し、愁をこちらに投げ渡してきた。バランスを崩してまた倒れそうになったが、なんとか足を踏ん張って愁を受け止める。咳き込んで、酸素を取り込んでる愁の首には、痛々しい程の赤い痕。
「い゛、ァ…ッ゛?!!」
ーバチンー
また、嫌な音。しかもそれは俺が受けたものよりも少し大きい音がしたように思う。それと同時に腕の中にいる、そいつから叫び声にも近いそれ。
「…おい、愁?」
そして急に俺の腕の中にいるそいつは静かになってしまった。揺さぶってみるけれど反応はない。痛みがキャパを超して一時的に気絶してしまったのか。
ーどう、しよう………ー
詰んだ。愁をおいて逃げることなんて出来ないし、かと言って俺の今のコンディションで担いで逃げるのも無理だし。
愁を隅に移動させて俺1人で相手する?それも非現実的だよなぁ…。まだまともに動けないのにそれは危険だろう。
こいつらに怒りが無いわけではないけど、冷静さを保てているのはある意味ではこの状況のお陰なのかもしれない。
「これ以上したら、殺すって言ったよな俺」
「あん…?"俺は"してねぇだろ」
ーそんな、屁理屈ー
こう言うやつらの常套句のような気がする。俺には言われてねぇから無効じゃね?ってやつ。愁の首を締めた奴、気絶させた奴はこいつの言う通り別の人間だけれども、俺はお前らって集団に対して言ったつもりだったんだが。
「…なぁ、リーダー。そろそろ5分だ」
「あー?マジィ?じゃア急がねぇとなァ…」
俺が怒ってんのは俺の態度で分かってる筈だが、それに対して何も感じないのか、それとも本当に気づいてないのか。目の前の男は笑ったままだ。朝生田もよく笑っていたがそれとは違う、嫌な笑みだ。
その男に、時計を見せ時間を伝えるやつが1人。こいつは、この集団の中でのリーダー格らしい。通りで、行動の中心にいたわけだ。
その『リーダー』は時間の経過を知らされると、ニィ、と口角を上げた。
「じィ……っくり遊んでやっても良いんだけどなぁ…場所が悪ィからよォ。"向こう"で楽しもうぜ?」
「は?…っ、…ァ゛っ…?!!」
刹那、背に先よりも激しい痛みを感じると同時にバチバチッと視界に火花が散る。2度目のその痛みに体は耐えきれず、視界がじんわりと暗くなっていった。
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