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「…兄貴、これ誰のチョイス?」
「え?俺」
年明けて最初の外食。しかも家族揃っての外食がまさかの
焼肉。
「…流星これにおい移るんじゃ…」
スーツを来ている兄さんと父さんはにおいの心配。まあ、食べたら仕事戻るみたいだし、当たり前だけど。
焼肉を食べに行くとは聞かされていなかったのだろう。言ってたら着替えてたはずだし。
「え、病院戻れば消臭剤あるだろ?」
「…親父あった?」
「…一応は置いてあります」
「じゃあ良いじゃん。あ、親父の奢りでよろしく」
「…はいはい」
「あざーす!あ、彗メニュー取って」
「そんくらい自分で取れ」
「俺手短いから無理かもー」
「…面倒なやつだな」
ー…どうしよう……ー
緊張して、会話に入るタイミングを完全に逃した。
父さんとこれを機にちゃんと話せるようになろうって思ったのに…このまま無言のままなのは逃げたのと同じだ。…何か、話さないと…。
「…昴流」
「ひっ?!は、はい」
父さんの凛とした声にビクッと体が跳ねる。父さんから、話しかけてくるとは思わなかった。
「髪切ったんですね」
「へ…?…嗚呼、はい。…退院した後に切り、ました」
「そうですか。美容院で?」
「…いえ、友人に」
「……そう、」
父さんなんでそんなこと聞くの。反応薄いしやっぱ俺の事聞いてみたけどどうでも良いとかそう思ってる…?俺、来なかった方が良かったかな。父さん、兄さんと兄貴といる方が楽しそうだし。…やっぱり、嫌われてるのかな俺。
「………あー、その…似合ってますよ」
「…っ…、ありがと…」
少し間が空いて、こっぱずかしそうに頬を書きながらそう言ってくれた。
父さんが初めていってくれた俺を肯定してくれる言葉。
父さんのその言葉がずっと欲しかった。
それを聞けただけでモヤモヤとした物は綺麗さっぱり無くなった。
嬉しかった。言葉で言い表せれないくらいに。
「…可愛い」
「へ?」
「お前が笑うところなんて久しぶりに見ました。…そんな風に笑うんですね」
愛おしそうに目を細め、俺の頭を優しく撫でる。俺も父さんがそんな顔するなんて、そんな風に撫でるなんて知らなかったよ。
「ちょっと親父、昴流とイチャつかないでくんない?」
「別にしてませんが」
「じゃあ俺の頭撫でてみろよ」
「…お前は撫でようと思わないですね」
「ひっでぇ」
「何処が」
「…うわーん昴流慰めて親父がいじめる」
「え、あ……こう?」
「ふふ、もー大好き。俺の癒し」
よく分からないけど、棒読みな泣き真似をする兄貴の頭を撫でてやると抱き締められた。どうやらこれで良かったようだ。
「おい、じゃれてないでメニューを見ろメニューを」
「あん怖い。やきもちですかお兄様ー?」
「…何でこんなやつが弟なんだろ」
「2人して酷くね俺の扱い」
「お前だからでは?」
「うわ泣くわ、流星くんそろそろがち泣きするわ」
「しとけ勝手に。…昴流なんか食いたいのあるか?」
「え、あ…特にないから兄さん達が好きなの頼んで良いよ」
「ん、なんかあったら言えよ」
「分かった」
「いや、まじでなんなの俺の扱い」
最初は話そうと思っても話せれなかったのに、自然と言葉が出てくる。
父さんと兄さんとこうして話すことができてる。
家族全員揃って、笑って話すことができてる。
ー夢みたい、だなー
本当に、夢みたいな時間だ。
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