アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
蘇る…(湊)
-
「いやいやいやいや…」
「夏希っ!!!しっかりしろ!!!」
「やだやだ…なんで、側にいて、嫌っ!!」
慣れないベットで、少し寝づらくて自然と目が開いた深夜
やることもなく、夏希の頭を撫でていたら
急に目を見開いて、涙を流しながら
狂ったように「嫌」と言いながら首を振り出した。
――思い出しちゃったか。
正直、ここまで暴れるとは思ってなかったけど
記憶が完璧に戻れば、
それ相応の精神的な影響があるだろうと踏んでいた。
「嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌っっっ!!!
ごめんなさい、ごめんなさい、許してください――」
「夏希、大丈夫だよ。遥紀からも、壮介からも守るから。
ね?ほら、大丈夫、大丈夫」
抱きしめて、背中を擦っても収まらない。
それどころか、ドンっと胸を押されてしまった。
その拍子で夏希を腕から離すと、
「ごめんなさい、ごめんなさい」とうわ言の様に謝りながら
目はしっかりと俺を見ていた。
「――っ」
「ごめんなさい、ごめんなさい
別れようなんてもう言わない、から
冷たい目でオレを見ないでください」
…ああ、俺だったか。
夏希を傷つけて、怖がらせて居たのは、俺だったか。
目頭が熱くなる。
『泣いちゃいけない』
わかっていても、止めることはできなかった。
「ごめん。夏希。もう離さない…
絶対に離さないって誓うから!!!
お願い…泣き止んで…」
深夜。
外は真っ暗。
夏希の顔がはっきりとは見えない。
それがこの暗さのせいなのか
堪え切れなかった、涙のせいなのか
わからなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
125 / 193