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束縛ー3ー
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「悠、着いたよ」
ただ家に着いたから声をかけただけなのに、
悠はシートベルトを外す素振りも見せず、ビクッと肩を震わせた。
何なんだよ。
俺が車を降りても、悠は一向に降りようとしない。
その姿に、少し… いやかなりイライラして、
俺は盛大に溜め息をついた。
「悠、 降りなよ」
「…ごめんな、さい…」
俺から何か言った訳でもないのに、
ごめんなさい。と繰り返す悠が、いつもより幼く見える。
だから、
えっと…
“守ってあげたい”
って。
何故だかそう思った。
腕をわなわな震わせながらシートベルトを外そうとする悠と、
目線を合わせるようにしゃがんで、優しく悠の頭に触れる。
「大丈夫。 僕は怒ってないよ。 ね?帰ろう?」
「うん…」
悠の脇に手をいれ抱き上げても、
悠はもうビクビクしなかった。
でも手のひらはぐっと強く握りしめたまま…
「ん?悠、何か持ってるの?」
「…っに。 ってない…」
「何て? 何か持ってる?」
「別にぃ… 何にも…」
あっそう。と少し乱雑に言えば、
悠は目に涙を溜めて、それを拭おうとした瞬間、悠の手のひらが緩んでしまった。
手のひらからスルッと抜け出して、地面に落ちたのは桃色の飴玉で…
「…ごめんなさい、ごめんなさい」
耳元で泣き叫ぶ悠にイラっとして、足元に転がる飴玉を踏みつけたい衝動に駆られたが、
怒ってない。と言った手前、そこはぐっとこらえて、優しくつまみ上げた。
「なぁ悠、 俺に嘘ついた?」
あぁ、
また呪文のかけ直しだ。
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