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アラームの音が鳴り響き、目を覚ます。
頭が痛いのは、昨日泣きすぎたせいだ。
顔を洗いに洗面所へ行くと、鏡の向こうに目を腫らしたブサイクな顔が見える。
「なんなんだよあいつ......」
知らない女と腕を組んで歩いていた鈴原。
俺のことを愛してるって言ったくせに、あれは嘘だったのか。
もう俺のことなんて飽きたのか。
俺は何も持っていないから、当然といえば当然だ。鈴原をつなぎとめられる魅力が自分にあるとは思っていない。
それよりも......
「俺、あいつのこと好きだったんだな......」
一晩泣いて、考えた。その結果がこれ。
やっと出た答えは、今の俺には残酷なもの。
だって、あいつはきっと、もう俺のこと好きじゃないのに。
あの姿を見て、こんなに悲しくなるのはなぜだ。
俺を捨てないでって、すがりたくなったのはなぜだ。
そんなの好きだからに決まっている。
やっと人を好きになれた。
鈴原玲が、大好きなんだ。
その事実と現実が、胸に刺さり、苦しくなった。
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