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運命、って信じる?《火黒》
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俺はあの日から、ただ一人を探している。
水色の髪に、見失ってしまうほどの小さな体。
勝利を見据える真っ直ぐな瞳。
お前は今、どこにいる?
「火神くん、」
「なんだ?」
「運命、って信じますか?」
少し前に黒子に聞かれた。
もしこの世に運命があるなら、僕らが出会えたこともきっと運命ですね、と。
その時は相変わらず恥ずかしいことを言う奴だと思っただけだった。
もし出会えたことが運命なら、今、俺の隣にお前がいないことも、運命だというのだろうか。
ウィンターカップで勝利を収めた少し後、黒子は死んだ。
突然、俺の目の前で。
校門を出てすぐ、通り魔に襲われそうになった俺をかばって。
病院に運ばれて1時間後に息を引き取った。
その日から、俺の時間は止まった。
何をしても、何も思わなかった。
しばらく休んでいた部活に久しぶりに出ても、練習試合でダンクを決めても。
俺の世界は完全に真っ黒になった。
俺、こんなに黒子のこと必要としてたんだ。
気づいた時にはもう遅く、俺の隣にアイツはいない。
黒子が死んでから、俺は毎日泣いていた。
黒子の誕生日。
俺は黒子の家を訪ね、花を手向けた。
「黒子、誕生日おめでとう」
そう呟いて、誕生日プレゼントであるバニラシェイクを置いた。
「火神くん、いつもありがとうね」
後ろから声をかけられ振り向くと、黒子のおばあちゃんが立っていた。
「テツヤちゃんもね、きっと喜んでくれてるわ」
そう言って笑顔を向ける彼女はどこか優しい目をしていて、黒子の笑顔によく似ていた。
「おばあちゃーん」
「あぁ、ーーー。こっちおいで」
彼女が呼び出し、駆け寄ってきた少女と目が合った。
息が、止まった。
水色の髪に、見失ってしまうほどの小さな体。
そして、真っ直ぐな瞳。
「火神くん、紹介するね。テツヤちゃんの従兄弟のーーー。ほら、挨拶しな」
「あ、は、初めまして。か、がみくん......?」
「なぁ、お前......」
「......運命、って信じるか?」
もしこの世に運命があるなら、俺と黒子が出会えたこと、黒子が死んだこと、それもきっと運命なんだよな。
まっさらの空の下、俺はこの世で一番愛しい人の名前を呼ぶ。
「テツヤ」
そう呼びかけると、ほら。
笑ってる。
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