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囚われの人9にしおりをはさみました!
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囚われの人9
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着替えが終わり、みんなが集まる。みんなきらきらと輝いているような衣装と武器で、正直めちゃくちゃかっこいいし可愛い。けれど、俺の気持ちは全く晴れない。
「やっぱり...。」
「ほらほらぺんちゃん。落ち込まないの。」
どこかでみたようなチェスト、割り振り、そしてこのノリ。ともさんがとんとんと背中を叩いて慰めてくれているようだが何にも嬉しくない。むしろそのにやけ面に腹が立つ。絶対俺の不幸喜んでる顔だ!!
「...ぺいんとさん。僕のと変えますか?」
振り払う気力もなくて今落ち込んだままの俺に控えめな声がかかった。その少し高めの柔らかな声は、
「loveさぁん....。」
ことりと小首をかしげてこちらをのぞき込む姿にうるっと来た。ともさんも、なんだかんだ朱梨さんも、そんな優しさを見せてくれたことなんて数える程度だ。
「ん、どしたんloveくん。今日やけに優しいな?」
朱梨さんが首をかしげている。
確かに、確かにloveさんは優しいのだけど、彼の優しさはこういう俺をからかうべき空気になったときはあまり発揮されていない。むしろともさんと一緒にからかってくるような、そんなノリが多いはず。なんだか今日のloveさんはいつもと違っているようで。
「ぇ、あぁ...ぼ、僕は元から優しいんです!!失礼なこと言わないでくださいよぉ!!」
びくりと一瞬慄いたloveさんが頬を膨らませてそう言った。その言い方も、仕草も、確かにloveさんなんだけど、なんか...違う。どこか大人びているような、そんな感じ。少年のように無邪気にはしゃぎまわる彼には少し似合わないそんな臭いが漂っている。
「loveさ...
「あぁもう!いいでしょ、長いよいい加減!」
突然耳元でともさんが叫ぶから、思いっきり肩が跳ねてしまってloveさんと朱梨さんに笑われた。納得できぬ。
「とりあえず!みんなチェストの中に入ってたもの報告してください!!」
「了解です!」
「はーい。」
「あ、ぺんちゃんは知ってるからいい。」
「...っえ、え、ちょ、せめて言わせろよ!!」
「最初はこれ。皆入ってたんとちゃう?」
ともさんと俺の言葉をスルーして朱梨さんが小さなポーチを差し出す。うすく緑に染まるハンカチほどの大きさのそれには確かに見覚えがあった。
「入ってたね。俺は赤色だったけど。」
「僕黄色。」
言葉通りともさんは赤いポーチをポケットから引っ張り出した。素材が薄く押し込めばどこにでも入るらしい。俺はずっと握りしめていたせいで少ししわの寄った少し目に痛い鮮やかな黄色のポーチを3人に見えるように差し出して見せた。
「...僕オレンジでした。」
「えっ、マジで?」
「マジです。」
どこか俯きがちなloveさんがそういって差し出したのは確かに薄いオレンジ色だった。別段、誰かが年末年始の時の色とは言っていないけれど、ここまで一致すると、そう考えてしまうのも無理はないはずだ、と思う。驚いたともさんは何か考えているようだけど、その表情からするに答えはないらしい。
「まぁ、あんときの色ってわけやないだけやろ。気にせんかったらええやん。」
「.....せやな。」
「...うん。」
こくりと頷くloveさんを見て、朱梨さんが再び口を開く。
「このポーチな、4次元みたいなもんやで。」
「え」
「は」
「えぇぇぇええ!?」
まるでこのポーチ可愛いでしょ?とでもいうようにさらりと告げられた事実はなんとも驚き。いやいやいやいやそんな馬鹿な。そう思って、握りしめていた黄色いポーチに手を突っ込む。
ほら、すぐに底に手が.......つ......つ...
つかないんですけど!!
するするとあっという間に肘まで入った自分の腕を見て開いた口が塞がらない。確かに幅は10㎝にも満たないほどなのに。君が悪くなって腕を抜く。
「な、言うたやろ。たぶんやけどマイクラの中やったらいっぱい持てるやん。あれの変わりとちゃうかな、と。」
「いやいやいや朱里さん落ち着きすぎだし!!」
「ほんとですよ!!」
ともさんとloveさんに俺も同感。ちょっとは驚いてください朱里さん怖いです。
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書ききれないのでもういっそここで装備紹介
作者の趣味嗜好のせいで和風装備。
とも→マシンガン。長距離専門。真紅の着流しには金色の竜が刺繍されている。黒い羽織は腕を通すことなく肩にかけている程度。足元は動きやすいように革の編み込みブーツ。
朱里→大鎌。花魁に近い。胸元で大ぶりに結われた帯は大輪の花のよう。緑を基調とした甚兵衛には白い蝶が舞い、髪は左右で結われ梨の花を模したかんざしが揺れる。
らぶ→短剣。青色の着流しに灰色の袴。銀色の糸で縫われた狗神が、威厳を失うことなく静かに鎮座している。灰色の袴をはき、その上から真っ白の羽織。
ぺん→なんの変哲もない平民衣装。黄色を基調としている。つるはし。
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