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欠けてゆく〔5〕にしおりをはさみました!
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欠けてゆく〔5〕
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このままだと延々と涙が流れてしまいそうで、暖かな日差しの中、最寄りとは反対側の駅の方へと歩いていく。
今まで、引き返す機会は沢山あった。
わざと兄と距離を置き、この恋を終わらせようとした事だって何度もある。だがその度に、気持は消えるどころか益々色濃くはっきりと心に根付いていった。
その感情は、自分に東京の大学を受験させ、兄と共に住まわせた。そして一生消えないトラウマをも兄の身体に深く植え付けた。
それもこれで終わったのだ。
もうこれからは自分の気持ちに悩まされる事はない。
今はまだ未練もあるが、もう顔を会わす事もないのだ。長い年月をかけて、その想いも綺麗に無くなるだろう。
カンカンカンカンカンカンーーーーーー…
踏切の遮断機が下りる音が甲高く鳴り響く。
ゆっくりとその近くまで足を進めた。
もう涙は流れていない。
心もどこか 晴れていた。
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