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齟齬にしおりをはさみました!
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齟齬
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両親と不動産屋に連絡し、部屋の荷物も全て元に戻した。
疲れを感じた1日だったが、こうして兄と2人
向かい合わせになって食卓を囲むだけで
そんなものも いとも簡単に吹き飛んでしまう。
余程腹が空いていたのだろうか。
急ぎ気味に食事をする兄。その顔は少し険しい。
「ご飯、美味しくない?」
「っ…ん? …いや、不味くはない。」
「そっか、ならよかった。」
不安になって聞いてみたが、荒涼とした表情の原因は
どうやら異なるところに有るらしい。
そうこうしてる内に兄が食器を空にする。
「ご馳走様。」
「ふふっ。兄さん速すぎ。 あ、お酒飲む?」
「…いや、いい。 風呂入ったら今日はもう寝る。」
「…そっか、お疲れ様。 おやすみ。」
「あぁ、おやすみ。」
食器を洗い場に運び終えて
足早にリビングを去っていく兄。
抑揚のないその返答が小さなササクレをつくる。
こんな事、今まで初めてだ。
遅れを取りながらも食事を済ませ、
食器を洗おうとキッチンへと移動する。
2人分の汚れた容器達。
直ぐそばに置いてあった軽い弁当箱を手に取った。
箸入れを開けてみるが中身が無い。
不審に思いつつ、箱の蓋を外した。
中に入っていたのは無残な4本の棒。
あぁ、会社で嫌な事でもあったんだろう。
家に割り箸は余っていただろうか。
そんな事を考えた。
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