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虚〔4〕にしおりをはさみました!
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虚〔4〕
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はじめは ただの ” 刷り込み ” だった。
空(から)のセックスの後に偶然目にした兄の身体が、女のソレよりも酷く官能的で。行き場のなくなった秘めやかな欲を、何度も何度も独り射出した。
形にすれば そんな欲 も消えて無くなるだろうと、丸みのない 熱をもった無数の塊に、自身の陽物を躊躇いなく捩じ込んだ。
そんな行為も虚しく、兄に対する浅ましい情欲は、日を追うごとに増していった。
そして次第に、兄の言動一つ一つ全てに、通常とは大きく異なった好意を抱くようになった。
その正体を知ることのないまま、丸2年が過ぎた。
俺が16歳、兄が21の時だった。
兄が、生まれて初めて家に”他人”を連れて来た。
肩まである癖のない滑らかな黒髪に、小さく薄い唇。キメの細かい艶やかな白肌に、シンプルな白のワンピース。見るからに清純そうな女性…。兄の初めての恋人だった。
今まで、全くと言って良いほど恋愛の兆しを見せてこなかった兄の交際に、両親は手を打って喜びを露わにした。
その日の夜の食卓には、母と”女”の手料理が並んだ。
強い吐き気を必死に堪えながら、満面の笑みで
皿の上にあるモノを胃の中に押し込んだ。
兄の幸せそうな、愛おしそうな顔を見る度に、真っ黒な底無しの泥沼に、ずるずると身体が沈んでいくようだった。
この日初めて、自分の中にある此の感情が
抱くことの許されない、憐れな” 恋心 ”なのだと知った。
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