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season #46にしおりをはさみました!
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season #46
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「そっか!俺がなんか見たことあると思ったのは、智だ!」
雅範がそう言うと、淳一が怪訝な顔をする。
「でも、智を真似るのはその幼馴染で、貴田君じゃないよね?」
「うん。そうだね。彼女が真似するのを手伝ってあげてたんだろうね?
大好きな幼馴染の為に智をずっと見続けて。
一緒に真似てあげたりしてたのかもしれないね……。」
和哉の口調は優しく、智を見つめる視線も優しい。
「智を真似てたら……明るくなっていった?」
淳一がポツリとつぶやく。
「ん。たぶん。幼馴染との楽しい時間のせいか、智の笑顔を真似たせいなのか。
でも、彼は後者だと思ったんでしょう。
みんなから好かれる智の真似をしたから、みんなが優しくなってきたって。」
「智の笑顔は無敵だからな。」
修は当たり前だと言うように、うなずいて見せる。
「そこからは加速度的に真似しつづけたんでしょうね。
智を見つめ続けて……。」
「同じ高校にも入ったしね?」
雅範は、から揚げを頬張りながら弁当のご飯を集める。
「あれ?幼馴染の子は?」
淳一が和哉を見つめる。
「ああ、違う学校みたいよ?」
雅範はご飯粒をまとめて口にかっこむ。
「一人になった彼は意を決して、智に近づく。」
和哉は智の反応を伺っている。
智は下を向いたまま、少しずつ弁当を口に運ぶ。
顔を見られたら、和哉には見透かされてしまう。
そう思うと、顔をあげることができない。
「で、友達になってください?」
淳一が肘をついて、箸を持ったまま両手を組む。
「でも、たぶん、それだけじゃ……。」
和哉が智を見つめる。
みんなも智に視線を向ける。
智はみんなの視線を感じて、箸をくわえたまま動けない。
顔をあげることもできず、沈黙が流れる。
「もういいよ。智が危ないわけじゃないんだろ?
智に問題がないんなら、いいじゃん。」
修はそう言うと、智の背中を撫でる。
「ね?智の友達なんだよね?」
智が顔をあげて修を見ると、修はにっこり笑って智を見ている。
その笑顔にホッとして、泣きそうになる。
「修君……。」
「ん、もういいから。」
智は修の肩にコツンとおでこを当てる。
修は優しく智の髪を撫でる。
「そうそう。もういいよね?相手のこともわかったし、
危ないこともないってわかったんだから。」
雅範も笑って和哉と淳一を見る。
「まぁ、真似っこがエスカレートして、智のこと好きになったりしないんなら、
俺もいいけどね。」
淳一はちょっと不満そうにそう言って、修と智から視線を逸らす。
「え?その可能性は……。」
修は撫でていた手を止め、智に視線を移す。
智は顔をあげず、修の肩におでこを当てたまま、小さく首を振る。
「ジュン君がそう言うなら、私もかまいませんけどね。」
和哉が意味深に笑う。
「え?何、カズ、それ、どういう意味?」
和哉は淳一を無視して智に聞く。
「智は、大丈夫なんですよね?」
智はやっと顔をあげ、振り返って和哉を見ると、
潤んだ目で力強くうなずく。
「じゃ、この話はここまで。」
和哉はにっこり笑って小さなハンバーグを口に入れる。
「そう言えば、修ちゃん、夏休み入ってすぐ合宿?」
和哉がまたニヤッと笑う。
「あ、うん。そうだけど?」
修は智の頭に当てた手を離せずにいる。
「それ、マネージャーとかも一緒?」
和哉の言葉に修と淳一がビクッとする。
修はビクッとした拍子に、智の頭から手を離す。
智が振り向いて修を見ると、修の視線が空を泳ぐ。
「いや……、マネージャーは通いだけど……学校で合宿だから。」
「ふうん。そうなんだ。」
和哉がまた、意味深に笑う。
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