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まだ皇子の腕に抱かれていたい、と無性に思ってしまう。
母の腕ではない皇子の腕にそう思ってしまうなんて、本当に不思議な気分だ。
「…寿、生きていると辛いこともある。でもそれと同じ、いやそれ以上に生きていれば幸せがある」
「…え?」
「心の底から生きていて良かったと思える時、それは誰かの愛を感じた時だと俺は思っている」
なぜ皇子がこんなことを急に言い出したのか、寿にはわからない。
寿は腕の中でただ皇子の言葉を聞く。
頷くことも首を振ることもしない。
「愛を感じ取ろうともせずに生きようとするのが、一番悲しい生き方かもしれないな…」
寿が恐る恐る顔をあげる。
「俺は寿を愛したことでちょっとした寿の仕草で、俺に幸せを与えてくれるのだ」
優しく目尻を下げた皇子の顔があった。
(あ…)
「恋というのは切なくなって辛いこともあるが、寿のことを思うだけで、心が温かくなり自然と笑みが溢れてしまう。こんな幸せなことはない」
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