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１－１０にしおりをはさみました!
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１－１０
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「はい……この体勢、思ってたよりも恥ずかしいですね」
「これからもっと恥ずかしいことをするのに？ でも、それを感じさせないくらいに悦くしてあげる。まだちょっと冷たいけど、我慢してね」
「んっ、あっ……」
耳に囁かれると同時に、ひやっとした感覚が固い蕾に当たった。しばらく、くにくにと入口を撫でて慣らし、マッサージをしているかのようだ。勿論、経験のない旭はそこを他人に触られるのは初体験で、恥ずかしくもあり、もどかしいような気もして変な感覚だった。
そして、次第に指先が入り、次には割るように指全体が中へ侵入していく。痛くはないものの、異物感が襲って旭はぎゅうっと椎名の指を締めつけた。
「ごめん、痛い？」
それを椎名は痛いと取ったようで、心配の声が飛ぶ。旭は咄嗟に首を振って答えた。
「変な感じ……かも。あの、椎名さん」
「ん、大丈夫？」
「……キス……して欲しいです」
「本当に、君は……」
ふに、と唇が重なる。何度か啄まれて可愛らしい口づけが終わると、蕩けるような情熱的な口づけをくれて。キスの気持ち良さに酔いしれていると、後孔の刺激が伝わってきた。
キスをしながら感覚に慣れていき、何度もピストンを繰り返していれば、少しは気持ち良いかもと思えるようになってきた。その頃には指も増えてきて、ぬちゅぬちゅという音がやけに耳へ響いていた。
「ん、ん……う……っ」
「ちょっとは慣れてきた？」
「はい……っあ！ え……えっ？」
質量が増えて、指が再び増やされたことが理解出来る。しかし、椎名が指を折り曲げた時、一瞬の強い電流が背中を走ったことに旭は混乱していた。助けを求めるように椎名を見ると、にこりと微笑まれるだけで。
「じゃあ、もう一段階ステップアップね」
それを言い残すと、旭がまだわかっていないままピストンが再開する。
ステップアップってなに。それはすぐにわかることになる。
再び動き始めた指は先程までのピストンとまったく違うもので。広げるようなものから、責め立てるようなものへと変化していた。それも、ある一点ばかりを狙って。最初は戸惑っていた旭も、ここまで来ると頭が追いついてくる。今、椎名に責められてるのは前立腺だ。
「あっ、あ……ああっ」
くぐもっていた旭の声は高くなり、脚もがくがく震えて、咄嗟に椎名の頭を抱えた。
だめ、だめ。旭は頭の中でずっと椎名に訴えている。とんとんと容赦なく前立腺を突く手に、きゅうっと締まる後孔。しかし、もうすぐで絶頂を迎えそうという時に指をずるりと引き抜かれた。物足りなくて焦れったい。開いた孔がヒクヒクしているのがわかって、それを早く埋めてほしくて。
「椎名さん……はやくっ」
「旭くんはおねだり上手だね」
椎名は、棚に置いてあったコンドームに手をつける。パッケージを破り、ジェルを纏ったそれは椎名の大きくなったモノに着けられる。
これが今から入ってくる。ちゃんと入るのだろうか。
目の前の大きさに旭はふと心配になった。ごくりと唾液を飲み干すと、椎名が旭の視線に気づいて目を合わせてくる。男らしい視線にすかさず顔を逸らせば、椎名はニヤニヤと意地悪く笑って。
「着けないほうがよかった？ それはまた今度ね」
と、旭に耳打ちする。
また今度。旭はこの言葉にハッとした。
「……俺には次があるんですか？」
「え、うん？ 仕切り直ししようって言ったでしょ？ セックスはまた置いておいて、それとは別に会いたいな。それこそ食事でもどうかな」
「本当に？」
「うん。旭くんの会いたい時に何回でも」
「本当に、本当ですか？」
「えっと、うん。あれ、俺って旭くんをどこか不安にさせてた？」
確かに、仕切り直しの件は覚えている。
しかし、あの二階のバーで出会った男。あの時に椎名が低い声で言った「一回抱いてやったくらいで」という一言が引っかかって仕方がなかった。もしかして、自分もこの一回きりで終わりなのかな、と旭はどこかしらで思っていたのだ。
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