アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
藍川から電話があった次の日の朝、各メディアへ一斉公開した『藍川復活』の情報は瞬く間に日本中へ広がり今じゃテレビも新聞も雑誌も何もかもあいつで埋まっている。
ついでにあいつのせいでうちの会社の電話はもはや機能していない。
あの電話嫌いの藍川と俺のお節介なせいでアイツあての仕事の以来は全部うちの会社へ送られることになっている。
「はい、こちらmemory社です。…はい、藍川の件ですね。」
「編集長。雑誌6社から藍川さんへコラムの依頼が来てます。」
「前出演してきた朝の番組への再レギュラーの仕事が…」
「ラジオでレギュラー番組をしないかと話が来ています。」
「新作が上がり次第、過去作品の映画化について本人と話がしたいと…」
「編集長!新春ドラマの脚本を藍川さんへお願いできないかと連絡です!」
「電子書籍サイトからCMの依頼が来てます。」
本当に 金の話は有難いんだが。
「あーー!!!!1回黙れ!電話線を抜け!五月蝿い…!!仕事は来た順に受けろ、スケジュールは社内中に回せ、あとカレンダーに書き込みを忘れるな!!
全部あいつは出る!受ける!あー…日にちが被ってるのはなんとかずらせないか交渉しろ、だがでかい仕事は確実に受けろ。
レギュラー、脚本、CMは確実にやれ。」
机の上へ溜まったFAXの束を拳で殴ってそう叫ぶと社員が散っていく。
正直手が回らない。
藍川が正式に復活する特集の販売は一週間前まで迫ってるが全国からの注文が多すぎてもう生産すら追いついていない。
…予想以上にこの国はアイツを待ち望んでいたらしい。
あの後、言われた通り家へ取りに行くと玄関にキッチリと置かれた原稿用紙はアイツが活動停止する前と何ら変わらない文字とスタイルだった。
書かれた文は鳥肌が立つほど整っていて、見た事の無いようなストーリーと文節が並んでいた。
きっとこの国の全員があいつの新作の虜になるんだろう。
そして また 小波も。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
141 / 208