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5.5 ちょっとした話にしおりをはさみました!
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5.5 ちょっとした話
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昨日の嫌なことは、昼寝で忘れてしまおう。
そう思ってやってきた中庭は、俺のサボりスポットの一つだ。中庭の奥、金持ちは何を考えてるかわかんないけど、薔薇の迷路みたいな中心。
ベンチがふたつあって、風通しも日当たりもいいからよく昼寝に来る。
「あ」
今日はそこに先客がいた。
真柴 晴。生徒会の書記様だ。
彼は俺と同じ昼寝仲間で、時々話したりするくらいには仲がいい。彼の親衛隊も穏健派らしく、見つかってもまあ実害はないだろう。けど、ここ以外は一切かかわらないようにはしている。
「...間宮君」
「こんにちは、真柴君」
「...こんにち、は」
人と喋るのが苦手らしく、口調がたどたどしい。
そこがいい、とか言うチワワもいるんだろうけど。
俺から見たら、犬みたいでかわいい、だ。
図体でかいし、無駄にイケメンだけれども。
それから特に会話をせずに、俺は空いてる方のベンチに横になる。腕を枕にして、目を閉じる。ぽかぽか暖かいし、風がふっとすき抜けるのが心地よく。
ちょっとうとうとしはじめたところで、ざり、と近づいてくる足音が聞こえた。
音の方を確かめると俺の顔を覗き込む真柴君の顔が、すぐ目の前にあった。
「...なに?」
「このまえ、本...読んだ」
「面白かった?」
このまえ貸したミステリだろうか。
凝ったトリックを書いて、裏の裏をかいてくる作者は俺のお気に入りで。たまたま、話した時に貸したのだ。
ん、と頷く真柴君は。本を差し出してくる。
「ほか、ある?」
他とは、この作者の他の本、だろうか。
「今度、持ってくる」
そういうと、ん、と嬉しそうに頷いて去っていく真柴。
犬みたいだな、例えるならゴールデンレトリバー。
ちょっと癒されたので、本格的に寝ることにした。
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