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思い
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…痛い。
やっとの思いで公園にまで来たものの、あまりの痛みにもうどこにもいけない気がする
裂けた後ろの痛みだけではなくて、腰も痛いし頭やお腹も痛い
人通りが少ないと思っていたこの公園も、なぜか制服を着た人たちが沢山通っていく
隠れるように公園の隅っこで蹲っていた
『あの子、神崎先生言ってた子?』
『あー、確かに。白い!』
『どーしたの、迷子かな?』
『話しかけてみる?』
「───ね、おーい。ねー!」
「…ぁ、俺?」
「どーしたの?迷子?」
「…迷ってない」
「ねーね!
神崎先生と一緒に暮らしてるって本当?」
「…神崎」
「神崎鈴!違った?」
制服を着た男女の組みに突然話しかけられた
鈴のことを知っているみたいで、更には俺と鈴が一緒に暮らしてる事も知っているようだった
「顔色悪いよ?」
背中を撫でられ、顔をのぞき込まれた
「かわいい!!お持ち帰りしたい!」
その一言にさぁっと血の気が引いた
もちろん冗談なのだと思うけれど今の俺にとってその一言はすごく怖い
「お前が言うとシャレになんない」
「朝からやめてよね。可哀想!」
何がそんなに面白いのか笑顔の耐えないその人たちは俺の腕を引っ張って立ち上がらせた
「神崎先生知ってる?」
「…うん」
「やっぱりこの子だよ!
どーする?学校連れてく?先生くるでしょ?」
「あー確かに。歩けそ?」
「…やだ」
「やだって。わ、泣いちゃいそう」
頭を撫でられ、「泣かないの」って言われた
泣いてないのに。
「電話してみる?」
「え、こういうことで電話ってして良いのかな?」
「んー、どうだろ。まぁ、何しても神崎先生怒んなそうだけどね」
本当に、鈴は何をしても怒らないと思う。
でも今は会いたくない
「…あ、もしもしー?俺」
「ぁ、…やめ」
「はい、変わってだってー」
やめてと言おうとしたのにもうかけていたらしくケータイを渡された
「どうしたの、手震えてるよ?」
上から手を包まれて、耳にケータイを当てられた
『…結?』
あ、…鈴の声だ。
じわ。と目元に涙が浮かんだ
会いたくない。一人になりたい。そう思っているのに、鈴の声が聞こえた瞬間に何故か凄く謝りたくなって、そして頭を撫でてもらいたいって、いつもみたいに膝の上にのせて後ろから抱きしめてほしいって、そんな思いが溢れた
そんなことしてもらう資格なんてないのに。
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