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ぶっちゃけそこまでたいした事ないだろうと思っていた文化祭実行委員は、ものの見事に忙しかった。
休みボケがまだ醒めきってないというのに、日ごとに忙しさを増していく。
「ごちそうさま。じゃー俺行くわ」
さくっと弁当を食い終わって、真島に弁当箱を返すと立ち上がる。
「えっ」
ガシッと縋り付くように足を掴まれた。
引退試合でマッチポイントを決められた選手の如く、真島は切羽詰まった表情で俺を見上げる。
なんでそんな顔してんだ。
「今日から昼休みも実行委員の集まりあんだよ。貞男も言ってなかったか?」
「…そ、そういえば」
言葉が足りなかったかと事情を説明すれば、心当たりがあったんだろう。しゅんと眉を落とした。
そんな分かりやすく落ち込まれても。
「あ、あの…。高瀬くん、昨日の放課後一緒にいた人…」
「なに、先輩?」
言ったら、真島は気まずそうに頷く。
ひょっとしてコイツまた別れられるとか勝手に考えてるんだろうか。
俺が女と話す度にそんな青い顔されたんじゃ、正直堪らん。
「もう終わったことだし、なんもねーから。いちいち気にすんな」
「…う、うん。ごめん」
わざわざそう言ってやってんのに、真島の顔は優れない。
というか足を離せ。
いつまで縋り付いてんだ。
俺はぐしゃりと髪を掻きながら、うーんと首を捻る。
何を言ってやりゃコイツは喜ぶんだ。
「…あー、そうだ。お前部活何時に終わるんだっけ。たぶん設営で俺も遅くなるからさ、一緒に帰るか?」
「――えっ、いいの?」
言ってみたら、みるみるうちにガラリと真島の表情が一変した。
あっという間にニヘラ顔になった真島の頭を一撫でしてやってから、ようやく俺は屋上を出た。
「うめのん、設営一緒にやろうよ。私こういうの分かんない」
「梅乃は忙しいんでちょっと話し掛けないでもらえますか」
放課後の校門前。
ミカ先輩の前に俺のナイトとなった貞男が立ちはだかる。
一体どういう構図だと目が滑るが、実際ミカ先輩にはあまり関わりたくないのはある。
そしてぶっちゃけ本当に忙しい。
文化祭の看板を取り付ける柱の部分の設営を今日はしていたが、ミカ先輩はもちろんだが貞男もこういうのには慣れていないのか全く役に立たない。
「ミカ先輩、暇なら資材室から工具持ってきて下さいよ」
「えっ、やだ。手汚れるもん」
相変わらずだ。
そういえば付き合ってる時に誰もいないから屋上でメシ食おうと下心に誘ったら、髪乱れるし肌乾燥するから嫌だって言われたの思い出した。
「…お前なんであんなのと付き合ってたんだよ」
「まあ俺も若かったんだよ」
「去年のことだろうが」
ミカ先輩と付き合っていたのは高校入学したての頃だ。
まだ高校生活始まって右も左も分からない俺が、とりあえず合コンしようぜと友達同士で集まったその場所にきたのがミカ先輩だった。
誰の知り合いだとかは忘れた。
ただ初対面からやたら慣れ慣れしい先輩に、これはいけると口説いてその日のうちにお持ち帰りしたのは覚えている。
ミカ先輩は気付けば帰る途中らしい男友達と話に行っていて、その姿に相変わらずだなと改めて俺は息を吐き出す。
「なんであの女と別れたんだ?」
「…別になんだっていいだろ」
「奏志の前に付き合ってた女なんだろ。気になるから言え」
「そんなこと言ったら、先輩の後に付き合った女なんてたくさんいるんだが?」
カンカン、と釘を打ちながら答えたら「最低野郎」と罵られた。
もうお前も手伝わないならどっか行け。
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