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待ち合わせは付き合ってた時よく二人で待ち合わせた何でもないただの公園。
お互いバイトとかをしてるわけでもなかったから金がなくてコンビニで買ったアイスとかをここで食べながら暗くなるまで話してた。
…懐かしい。
一年前だからそんなに前でもないのにすごく懐かしい気がするのは別れてからの間が詰まってたんだろうな…いい意味でも悪い意味でも。
公園につくとスマホも弄らずに俯いて柵に寄りかかってる若菜がいた。
ぐっと拳を握って気合を入れる。
「若菜」
「…あ」
名前を呼ぶとぱっと反応して顔を上げた。
あの頃より少しだけ大人っぽくなった気がするのは化粧のせいだろうか。
俺を見つけると駆け寄ってきてふっと安心したような表情を浮かべた。
「よかった…来てくれた」
「…当たり前だろ、俺が連絡してっていったんだから」
「そうだけど、なんか…和とまたここで待ち合わせるなんて信じられなくて」
そう笑う彼女が綺麗で儚くて胸が締め付けられた。
…あんな別れ方したのに俺に向かって笑ってくれるんだな。
スヌードに顔を埋めてるけど鼻が赤くて、結構前から待ってくれてたんだと悟った。
「とりあえずどっか入ろうぜ、寒いし」
「うん」
若菜が付いてきてくるのを確認して少し前を歩く。
隣を歩いたり無理に話しかけたりしようとしないで控えめに後ろを歩く距離感が俺らのぎごちなさを表していた。
お互い口数も少ないままファミレスに入ってテーブルを挟んで座る。
「……」
「……」
…何話せばいいんだっけ。
あの時は衝動的に腕掴んでしまったけどよくよく考えたら何言おうかまとめてなくて頭がごちゃごちゃになる。
えっと…えっとー…
「ねえ」
「あのさ」
同時に口を開いて目が合う。
「あ…どうぞ」
「や、先いいよ…」
お互いぎこちなくてしばらく見合ってるとぷっと耐えきれない笑いがこみ上げてきた。
「…ふふ…っ、何この感じ。和らしくない」
「俺らしいって何だよ…」
「もっと自信満々で傲慢な感じ」
「はあー?何それ、そんなこと思ってたのかよ」
「嘘、じょーだん。…ふふ」
口元を隠して肩を震わせて笑う。
…よかった、意外と普通に話せるもんだな…
「んで…元気してた?」
「うん、和も元気そうでよかった。引越し先あの辺だったんだね」
「いや…あの駅からはもう少し離れてるかな。まさかあの辺で会うと思わなかった」
「すんごいたまたま、あそこのケーキ食べたいねってちょっと遠出したの」
「見かけによらず女子っぽいもん好きだよな」
「あ、なにそれ。ひどい」
「うーそ、じょーだん。若菜の真似」
そんな話をしてるうちに段々あの頃の感覚に戻っていって話も弾むようになって懐かしい話をして気づいたら時間も過ぎていってた。
「はーあ…笑いすぎた…、お腹痛い」
「俺も、涙出てきた…」
目元に浮かんでた雫を指で拭って若菜を見たら急にふっと表情が歪んだ。
「…和といると楽しかったな」
懐かしむようなそんな顔でぽつりと呟いた。
「和といたあの頃が一番楽しかった」
「…若菜…」
「なんて、今更言っても意味無いけどね」
えへへっと笑ってみせる若菜に苦しくなって。
…ちゃんと言わなくちゃ、そう思った。
「若菜」
「…ん?」
「…俺…」
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