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俺たちに射す斜陽〜むつ〜
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放課後は、修二の言った通り、奏一さんが迎えに来た。俺たち3人は奏一さんに、車で送ってもらって俺の家に向かう。
別れ際、奏一さんの一言に俺と華南は驚いた。
奏一「じゃあ、3人ともしっかり勉強しなね。修二、帰りは連絡しろよ、迎えに来るから」
え?迎え?俺と修二の家は徒歩5分だぜ?
修二は奏一さんの言葉に素直に頷き、奏一さんは職場に戻って行った。
過保護が悪化してる…。
俺と華南が同時に修二を見る。
修二は少し苦笑いして頬を指でかいた。
修二「大丈夫大丈夫、兄貴も来週のテスト週間には落ち着くよ。ランチタイムにお迎えは無理だからね、さ、勉強しちゃおう」
一体…どうしたらいいんだろうか?
勉強は、前回よりかなりスムーズに進んだ。
マキと出会ってから、目立つ行動を控え、前より授業に出てたからだろうか?
マキという人物はメチャクチャなやつだが、あいつと出会って良かったのかもしれない。
吉良さんに言われた通り、無理やりセックスを経験しなきゃ、男が有りだとは思わなかったろう。
…それに俺は、こうなってよかったと思ってる。…まだ色々手探りだけど、2人が大事だし…好きだ…。
修二「むつ、手が止まってる」
むつ「あ…悪い」
いつものように、四角いテーブルに、俺と華南が向かい合い、間に修二が座ってる。俺から見て左側の修二は、勉強用の赤いメガネを外してテーブルに置いた。
修二「丁度1時間立つし、休憩にしようか」
華南「俺、あと2問でこの科目終わる」
修二「むつは、今手をつけてるのだけやっちゃおうか?」
むつ「ああ」
いつの間にか、1時間も勉強してたのか…、今回は結構いい点とれるかも。
華南「はい、終了!」
華南が鉛筆を机に放って背伸びする。右隣の修二が華南のノートを覗き込んだ。
修二「お疲れェ〜、ふんふん、正解でーす」
華南「やりぃ〜、じゃあ修二ぃ〜ご褒美のチューして〜」
華南は右側を向いて修二に軽いノリで迫る。
華南のばーか、前回はノートではたかれたろが、またはたかれるぞ…
むつがほくそ笑むと、目の前に意外な光景が広がった。
…ッえ¨!!?
むつの左斜め前で、修二が華南の首に腕を回し濃厚なディープキスを始めた。言い出しっぺの華南は、驚きで目を丸くして、修二のリードで深まるキスは、大きめのリップ音で離れた。
ーチュッ
修二「…続きは次の科目終わったらね」
華南「え…ぁ…うん」
驚きを隠せない華南、驚きすぎて固まってるむつは、2人が離れたのを見てやっと思考が動いた。
むつ「…、ぁ…ッずるい!!」
テーブルを叩き、身を乗り出す。
すると修二は、書きかけのむつのノートを指差しにっこり微笑んだ。
修二「むつはまだ終わってないでしょ?」
むつ「…。終わったらしてくれんのかよ?」
修二「うん、いいよ」
むつ「お前から?」
修二「うん」
俺が疑いの眼差しを向けても、修二はにっこり微笑んだまま。
むつ「分かった…今やるから2人は休憩にしろよ」
修二「むつ、そんな慌てなくても嘘ついたりしてないよ」
むつ「うっさい、俺がやるって言ってんだから、お前はジュースでも飲んでろ!」
修二「はいはい…」
クスクス笑った修二は、部屋にある小さい冷蔵庫から飲み物を取り出し、華南と2人で飲みながらむつが終わらせるのを待った。
修二は1教科終わるたびに約束通りキスしてくれた、憧れたラブラブに近い流れに、俺は少し浮かれた。
修二が奏一さんと喧嘩してるのは可哀想だけど、こうやって甘えてもらって、あったかい気持ちが広がる。奏一さんと何があったか分からないけど、修二が傷ついてるなら、俺と華南でしっかりフォローしてやりたい。
唇が離れて、むつは修二を抱きしめた。
今後は絶対先走って傷つけたりしないと決意を示すように、力を込めて抱きしめた。
修二「どうしたの?むつ」
むつ「なんでもない…」
一層力を入れて抱きしめられた修二の顔が、むつの肩越しに埋まる。
むつと華南の顔が見えなくなり、むつに抱かれる修二の瞳には、深く暗く冷たい色が宿っていた。
俺たちの捗った勉強は目標のところまで進み、姉貴が夕飯を食べて行けってうるさいから、華南と修二も夕飯を一緒に食べた。
帰ることにした修二が奏一さんに電話して、迎えに来るのに15分ほどかかるとのこと。
やっぱり、歩いて帰った方が速い。
華南「もうそろそろ出てようぜ」
修二「…ん」
奏一さんに連絡してから10分ちょっとたってる。主屋で姉貴の子供を眺めていたが、丁度寝たタイミングだった。
むつ「そっか、じゃまた明日な」
華南「ああ、お邪魔しました」
修二「ごちそうさまでした…」
修二は、名残惜しそうに赤ちゃんを眺めて華南と玄関先に出て行った。
よし、俺、やれば出来るじゃん、今日はイラつかず勉強も進んだ。明日もこの調子で、いっぱい修二を甘やかすぞ!
むつは、ガッツポーズで気合いを入れ、自分の部屋に戻った。
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玄関先に出た華南は、奏一の車が無く、むつがいないのを確認して、口を開いた。
華南「修二、大丈夫か?」
修二「え?何?ああ、兄貴なら…」
華南「違う」
低い厳し声に、修二はキレイに微笑んだ。
修二「大丈夫じゃなく見えるの?」
華南「大丈夫に見えるから聞いてる」
修二「え?……なんだそれ…」
華南「何があった?」
修二「……。兄貴にバレたんだ、こないだ百目鬼さんと出くわしたこと。だから警戒してる」
華南「それだけか?」
修二「ん? “それだけ” だよ」
またキレイに微笑み、2人が見つめ合ってると、奏一さんの車が2人の前に滑り込んできて、話は、途切れた。
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