アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
狭い世界の外側と俺たち〜華南〜
-
修二「忘れ物はないね」
むつの部屋、俺とむつは海の家へバイトに向かうために、修二は一旦帰って奏一さんの店へ行くために、全員支度を済ませて玄関を出るところ。
またしても飛び出した、俺の妄想と同じセリフにたまらずキュンとする。
修二くんマジキャワいい。セックスに疲れた気だるい表情で、それでも大好きなむつの世話を焼いて尽くしちゃうとことか、もう、たまんないっす!
むつ「多分ない」
修二「調子に乗らないで日焼け止め塗りなよ?去年みたいに焼きすぎて泣き言言っても僕ちゃんはいないからね」
むつ「わぁってるよ!」
修二「華南は無理すんなよ、額縫ったんだからはしゃぎすぎるないでよ」
華南「修二も無理すんなよ」
修二「僕ちゃんは大丈夫だし、むしろ頑張んないと兄貴に怒られるし」
むつ「あー、そーだ、ほれ、忘れ物」
何かを思い出したむつは、担いでいたボストンバックを置いて、修二に向かって唇を尖らせて両手を広げた。
むつ「んっ」
ほら、と言いたげなその仕草は、一瞬にして修二を固まらせた。
華南「あ!俺も俺も!」
俺も一緒にいになって唇を尖らせて両手を広げる。
いつも3人一緒で、離れるのは自宅に帰る時しかなかった。だから、俺たちにとって記念すべき初めての『行ってらっしゃい』だ。
俺とむつが何がしたいのか分かってる修二は顔を赤らめて身じろいだ。
けれどむつは、こういうことは絶対に引かない。
しばらくすると観念した修二が、おずおずと恥ずかしそうに、口を動かして唇を寄せる。
修二「い、行ってらっしゃい…」
むつ・華南「行ってきます♪」
ーチュッ♪
3人一緒に唇が触れて、ギュッと抱きしめあった。
相変わらず、言い出しっぺのむつが1番最初にクスクスと笑い出す。楽しそうで幸せそうに。
一方修二は困り顔。顔とうなじを真っ赤にして、未だに慣れないむつのスキンシップに内心がお祭り騒ぎなんだろう、頭がフル回転しているのが手にとるように分かる。
俺も自然と顔がほころぶ。
ああ、なんて理想通りの光景だ…
離れるのは寂しいが、なんとも言えない満足感に満たされ。
俺とむつは、海の家の住み込みアルバイトに向かう。
むつ「あっ、そうだ!修二」
修二「何?」
むつ「メールいっぱいして、毎晩電話するから、俺たちいなくてさみしいだろ?」
修二「もう…、毎晩なんていらないよ、たかだか数日じゃん、さみしくないよ、バイト中にメールとかするなよ?」
むつ「しねーよ」
断られてムスッとしたむつ。
プクッと膨れた頬が可愛らしい。自分が寂しいって言えばいいだけなのに、そうすればむしろ修二はむつのために毎晩電話してくるだろうに…
華南「修二は修二で寂しいだろうけど、むつが修二に会えなくて寂しいから電話したいじゃないの?」
むつ「……」
修二「…ふふ、なーんだそういう事なら僕ちゃんが電話してあげようか?」
むつ「分かった、寂しいから毎晩電話する」
修二「ぇ…」
修二の顔がみるみる赤くなる。むつの、たまに炸裂する口説き文句…本人そんなつもりで言ってなんだろうけど…、俺が『修二に甘えて欲しいならむつが甘えろ』って言葉を実践するようになってから、その口説き文句の威力が増している。
修二がむつにキュンキュンしているのがとてつもなく見ていて楽しい。
むつ「だから、お前も我慢するな…、俺の渡したマキコレクションのオモチャ持って待ってて、毎晩一緒に…」
修二「しません!電話禁止!はい、行った行った!」
むつ「なんでだよ!電話していいって言ったじゃんか!!」
ーぎゃいぎゃい
あと一歩で、修二の照れた可愛らしい顔が見れたろうに…、いつもどうり言い合いになる2人…。らしいっちゃらしいから、これもまたいいんだけど…。
…むつ…惜しかったな…。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
無事、予定の電車に乗り込み、俺とむつは海へと出発した。
座席に座ってる間も、先ほど修二にははたかれた頭をさすってブツブツ言ってるむつは、ご機嫌斜めだ。
むつ「…っきしょう、なんだよ修二のやつ、華南に毎日ヤりてぇって言ってたくせに…」
…朝の俺たちの話しを聞いてたのか…。
むつは…、天然に修二をメロメロにするけど、天然に修二がデレるチャンスを自ら棒に振ってる…。少しだけ話術とか勉強すれば、修二を骨抜きにできるだろうに…。
社会勉強にホストでも見学してくれば少しは治るかな?ってか、むつみたいに天然に相手を口説くやつが、相手の気持ちを察するようになったら、恐ろしいモテ男になるよな。むつは、見た目カッコ可愛いいし、腕っぷし強いし、普段怒ってばっかで目つき悪いけど、笑うと超可愛いし、熱いこと言って、時々強烈に口説き文句言うし…。
世の中を知ってコミニケーションのスキルが上がったら…将来とんでもなくモテル男前になるじゃないだろうか??
むつ「…華南。何さっきっから俺の顔ジロジロ見てんだよ!」
華南「あっ、いやいや、むつは将来修二を骨抜きにするんじゃないかと思って…」
むつ「はぁ?骨を抜く?なんだそりゃ」
…。まぁ、今のまんまでも、十分修二はむつにベタ惚れだし、俺もむつに夢中でベタ惚れだから…いいんだけど…。
ほんの少しだけ、学生という世界から社会に出た後のむつを想像して、頬が緩む。
キレてばかりのむつが、どんな大人の男になるのか想像しても、やっぱりいつでもキレてるような気がして、ただ、大人のなったむつは色々吸収して、さらに男前になるだろうことだけは確かだ。
その時俺は、どんな男になっていて。
修二はどんな風に骨抜きにされてるかと思うと、可笑しくて笑が止まらなかった。
電車に長く揺られていたが、トンネルを抜けると、そこは、青い海に砂浜に溢れる人。
今日からアルバイトすることになる海の家のある海岸が広がっていた。
むつ「すっげェ〜!塩の香りがするー」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
303 / 1004