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(番外編)純愛♎︎狂愛18
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ストーカー男は、控え室で花嫁を人質に興奮状態。
派手な頭に白のタキシード、ピアスだらけの耳に唇にまでつけてた。
そのヤンキー面は、姫香さんのポストに投函されてた集合写真にはない顔だった。百目鬼さんも知らない顔なのか、眉を顰めた。
張り詰めた緊張感の室内にストーカー男の身勝手な欲望が響き渡る。男は視点が定まっておらず、薬物使用の疑いがある。こっちが下手に動けば、何をしでかすか分からない。
男「入口開けろ!俺は姫香と結婚すんだ!」
ナイフを振り回し、花嫁を引きずってジリジリ前進。
入り口の杏子さんと百目鬼さんが両手を上げて、ゆっくり後退する。
男「邪魔しやがったら刺すぞ!」
ストーカー男の好き勝手にさせたくはないが、ナイフと目が血走ってて、言うことを聞かざる得ない。
男「デッカイの!もっと下がれ!!」
自分より大きい百目鬼さんを警戒して、後ろへ下がらせる。十分離れたのを確認して、ストーカー男は花嫁を無理やり引きずって部屋から出ようとした。
が…
男「あ?」
ストーカー男が、花嫁を見て不快な声を出した。
うつむいて震える花嫁の髪をひっつかみ、男は無理やり花嫁の顔を上げさせた。
ベールに包まれてレース越しに見るその顔に男が目を見開く。
男「ッ!!??。ッテメー誰だ!!」
男の怒鳴り声に、花嫁はクスクス笑って微笑んだ。
マキ「ふふ、マキちゃんです♪♪」
男「あアッ!?」
ストーカー男は、マーメードラインのウエディングドレス花嫁の格好した僕を見て、目が剥くほど驚いて直ぐに怒声を上げる。
男「俺の姫香じゃねぇ!!!」
僕のドレスの胸ぐらを掴もうとしてきたから、その手を止めてクルッと捻ったら、関節が決まりきる前に、うまい具合に逃げられた。
思ったよりこの男、体の使いかた知ってる。
男「ざけんな!」
僕に向かってナイフを振りかざした瞬間、百目鬼さんがその隙を突いて取り押さえに飛びかかる。
ビュッと音がして、ストーカー男の頬にゴッと鈍い音とともに拳がヒットして吹っ飛んだ。
が、百目鬼さんが大きく舌打ちする。
男の頬に入った拳は、力を少し逃がされたみたいで、百目鬼さんの拳を受けても男は直ぐに立ち上がり、ナイフをこちらに向けてきた。
男は、口から血を垂らしながら、ニヤリと笑う。
あの人、殴られ慣れてるみたい。
男「姫香はどこだ?」
百目鬼「ここには居ないぜ」
男「嘘だ!控え室に入るのを見た!姫香を返せ!」
男は狂って怒鳴り散らし、百目鬼さんを仇のように睨みつける。
男「畜生!こんなことなら早く迎えに行きゃ良かった、俺に会えない寂しさで、他の男を作るなんて!!」
百目鬼「お前、だいぶキマってんな…」
男「クックックッ、さっさと迎えに行って、一生側で幸せにしてやるって言ってやれば良かった、そんなに寂しかったなんて、側にいて、ベッドに繋いで飼ってやれば良かった。早く躾けてやれば、こんなオイタはしなかったろうに…、もう寂しい想いはさせない!鎖につないで家に閉じ込めて俺だけのものにしてやる!」
百目鬼「……」
百目鬼さんの眉がピックっと動いた。
その一瞬だった。
男「姫香を返せ!!」
男は振りかざしたナイフを、怒鳴り散らして百目鬼さんに向かって投げつけた。
百目鬼「!」
危ない!!
僕は咄嗟に、ナイフの前に飛び出してた…
杏子「きゃぁあッ!!」
目の前の光景に杏子さんが悲鳴を漏らし
ストーカー男がナイフを手放した瞬間、背後から檸檬が男に飛びかかる
ナイフが床にガシャンと落ちて、
百目鬼は目の前のマキに釘っけだった視線がハッとして、ストーカー男を視界に捉えた。ストーカー男が、背中におぶさる檸檬を壁にぶつけて振り払おうとしていた。
百目鬼「チッ!!」
弾かれたように男に飛びかかり、檸檬と二人でストーカー男を床に押しつけるように寝かせて、取り押さえて捕獲、男が喚き散らす中、直ぐに警察を呼んだ。
杏子「マキちゃん!!!」
僕はといえば、ウエディングドレスのまま片膝ついて、左手を抑えていた。
捕まえるどころか、取り押えるのに参加もできなかった。
杏子「マキちゃん!怪我したの?!」
マキ「平気平気♪、杏子さん落ち着いて、かすり傷だよ、でもほら、血が落ちたらドレス買取になっちゃうでしょ?」
オロオロしてる杏子さんに、ヘラヘラ笑いながら左手を見せる。ナイフをはたき落した時、刃に触れてちょこっと切れただけの小さな傷。絆創膏で十分な、舐めときゃ治るくらいの擦り傷を見て、杏子さんが胸をなでおろした。
杏子「よ、よかったぁぁ…」
マキ「杏子さんて、しっかりしてるのに、心配性だね♪」
杏子「やめてよ、ナイフの前に飛び出した瞬間は刺さったと思ったんだから!私と百目鬼さん側からじゃ、背中しか見えなかったし!」
マキ「あは♪刺さんないよ、僕って真剣白刃取りとか出来ちゃうんだから♪♪、さ、早くここを片付けよう♪、姫香さんたちの目につかないように、結婚式が台無しになっちゃう♪」
杏子「そ、そうだった」
杏子さんは、不安そうな顔から仕事モードに切り替わり、後かたずけに移った。
姫香さんの目につかないうちに、式場警備員の力も借りて、他の客にも気付かれないよう裏口から犯人を運び、駆けつけた警察に引き渡した。警察には、姫香さんの母親のことに配慮して、式を済ましてしまいたいので、姫香さんの事情聴取は式の後にしてもらい、檸檬さんが事情聴取に対応した。
現行犯逮捕だから、もうあの男は刑務所送りだ。
姫香さんは、新婦控え室の更衣室に隠していた。杏子さんが、彼女に全て片付いたことを伝え、輝樹さんのいる、新郎控え室に送り届けた。
一件落着。犯人も捕まったことを、杏子さんから聞いた姫香さんと輝樹さんは、安心して結婚式をスタートさせた。
これで2人は、怯えないで済むし、予定通り式を行えばお母さんも安心して手術を受けられるだろう。
さてと、僕はドレスを抜いじゃおう。
一人新婦の控え室にいた僕は、新郎新婦両親に見つからないように隠れていたが、式が始まったので、ドレスを返しに行かねば。みんな後かたずけや、始まった式に手一杯。
手の出血も止まったし、本館に移動して、誰かにドレスを脱がせてもらおう。
そう思って、こっそり新婦控え室から出て本館に向かおうとしたら、廊下から凄い勢いで苛立った足音が近づいてきた。
ガチャっと控え室のドアを開けたのは、鬼の形相の百目鬼さん。
マキ「あ、百目鬼さ…」
ーバチーン‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎
頬に痛みが走り、何が起こったか直ぐには理解できなかった。
さらに、ガンッ!と壁に押し付けられ、百目鬼さんの怒りの炎の瞳が見下ろす。
百目鬼「テメェーは、死にたいのか!」
ドスの効いた低い唸り声が、歯軋り交じりに聞こえてきて、理解した。
百目鬼さんは、さっき、僕がナイフの前に飛び出したことを怒ってるんだ…
マキ「ごめんなさ…」
謝ろうとしても、百目鬼さんは壁をダンッ!と殴りつけて、阻む
百目鬼「テメェーは二度と現場に出るな。着替えたら矢田に家まで遅らせる」
百目鬼さんはギリギリと歯軋りして、怒りを抑えながら、直ぐに僕から離れてしまう
どうしよう、百目鬼さん怒ってる、僕が約束破ったから…
マキ「あっ、まって、ど…」
百目鬼「触んな!!」
伸ばした手は、振り払われ…
百目鬼「死にたいなら、俺の見てないところでやれ!」
吐き捨て、踵を返して去っていく…
ぁ…
…て…、
待って…
まって、百目鬼さん!…
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