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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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マキ「な…、ッ…修二こそ、百目鬼さんの気持ちを聞いたわけでもないのに勝手に決めつけないでよ。慰めの言葉とかいらない」
修二を睨みつけると、修二は「決めつけてないけど?」的な顔して見つめ返す。そしてすかさず、むつが僕の頭を押さえつける。
むつ「お前うるさい」
むぎゅっと床に押さえつけられ、身動きが取れない。入院してから少し痩せたから、筋肉が落ちたのか、むつの小さな体が動かせない、むつを払いのけようとしても、むつの力の方が強くてビクともしない。
むつ「修二は百目鬼の味方か?」
ちょっと嫌そうに。いや、かなり嫌そうにそう言ったむつ君に、修二は顔が綻ぶ。
修二「味方とかじゃなくて、僕が知ってる百目鬼さんは、本来あんまり人をそばに置きたがらない人だよ」
むつ「あ?あんな粘着質なのに?」
修二「そう、だからだよ。1度気持ちが動いちゃうと、手放せなくなっちゃう。僕にマキと付き合ってるって報告に来た時も、ずっと、過去の過ちは繰り返さないって言ってた。でもさ、難しいよね、知りたがりで独占欲強くて嫉妬深い人が、そう簡単に変われない」
グサっときた、僕のせいで百目鬼さんがこんな風に言われるなんて、百目鬼さんは変わったんだ!凄く凄く頑張って、ちゃんと変わったのに!
マキ「違う!百目鬼さんは変わった!百目鬼さんは優しくなった!繰り返したりしてない!百目鬼さんはずっとずっと変わるって頑張ってた!僕が誘惑したからいけないんだ!百目鬼さんのそばにいたくて、僕が勝手に好きだってまとわりついて、百目鬼さんが罪悪感で苦しんでるの知ってたのに、ずっと僕が無理やり跨ってただけで、百目鬼さんはちゃんと変われたよ!」
必死に弁解したのに。
むつは血管切れるんじゃないかってほど酷く怒った顔してて、修二はにこやかに般若オーラ再来。
ふにゅッ…。怖い。
むつ「はぁアア??何だその言い方!」
むつの血管がブチブチいってる
そして、修二は、きっちり僕のこぼした言葉の意味を解明してきた。
修二「〝気持ちが無いからしょうがない〟って、そういう意味か。百目鬼さんがマキを好きじゃ無いって思ってるんだね、なんで?」
むつ「は?百目鬼がマキを好きじゃ無いのか?!なんだそりゃ!ぶっ殺す!」
修二「むつ君むつ君、今大事なところだから」
殺気立って今にも殴りに行きそうな勢いだったのに。修二の一言でシュンとしてむくれてでもちゃんと〝待て〟するむつ。
むつを上手く制し、修二は僕をじっと見つめてきた。
マキ「…違う、百目鬼さんは僕を大事にしてくれた」
修二「それで?」
マキ「優しくしてくれた…」
修二「それで?」
マキ「それでって…なに…」
修二「なんで好かれてないなんて思ってるの?」
マキ「思ってない」
修二「マ〜キ」
マキ「思ってないもん」
修二「強情」
修二は赤ちゃんを優しく叱るように〝めッ〟ってしながら、人差し指で僕の鼻をプニッって潰す。
マキ「もう終わったんだ…」
もうやめて…
むつ「埒があかねぇーよ。こいつ正直にならねぇし、やっぱ百目鬼ぶっ飛ばすしかねぇーよ」
マキ「やめてよ!これ以上百目鬼さんに迷惑かけないでよ!」
むつ「はぁあ!?
修二!この分からず屋ぶん殴っていいか?」
修二「むつ、暴力は良くないよ」
むつ「じゃあやっぱ、百目鬼ぶん殴ろう!」
むつはすっくと立ち上がり、僕の制止を無視して部屋から出て行こうとした。
矢田「ま、ままま待って下さい!!」
突然、矢田さんがむつの前に飛び出した。部屋の隅に縮こまってた矢田さんはむつをとおせんぼしながら足がガタガタ震えてる。
矢田「どど、百目鬼さんに危害を加えるなら、通すわけにはいきません!通しても行くなら俺を倒してから…」
むつ「ァア¨ッ!?」
矢田「ヒィ〜!!」
むつにひと睨みされて、早々に腰を抜かす矢田さん。本当に、全く力も度胸もないのに、あの忠誠心だけは尊敬する。
むつ「どけ!」
矢田「ど、どどどきませ〜ん」
どかないというか、もう腰抜けてどけないというか…。微妙なところだが、威嚇して睨むむつに震えながらも視線は外さない。
矢田「そ、そ、それに、さっきっから、あ、あなたたち、ひ、ひ、酷いです。」
むつ「吃るんじゃねぇ!言いたいことあるならハッキリ言えよ!!」
矢田「ヒィ〜!」
いちいちビビる矢田さんに、むつがイラつくから、矢田さんは益々ビビる
矢田「百目鬼さんは、良い人なんです!ちょっと言い方がアレなだけで!本当は凄く優しい人なんです!!」
むつ「優しい奴は、襲われた恋人を慰めもせず別れたりなんかしねぇーよ!」
矢田「コイビト?誰が?」
矢田さんの頭の上にハテナマークな飛んでいる。この人、僕らの話しを聞いていなかったんだろうか?
むつ「百目鬼とマキだよ!!」
矢田「えーーーーッ!!」
むつ「ダメだこりゃ、話の通じねぇ奴しかいやしない」
むつが呆れて深い溜息をつく。
マキ「むつ!待って!」
むつ「待たねぇーよ」
腰抜かして放心してる矢田さんを押しのけてドアを開けようとするむつに向かって懇願しても、むつは聞く耳持たない。
僕はもう本当に限界だった。
むつの背中に向かって、必死に頭を下げ土下座した。
マキ「待って…下さい…」
むつ「…」
床に頭をこすりつけ、手が震える。今にも泣きそうなのを必死にこらえてお願いした。
マキ「今は…まだ…、僕の気持ちが着いていけてないんだ、百目鬼さんとのこと…まだ…何も受け止めれてない…、だから…、もう少し待って…、今、むつが百目鬼さんの所に行って、話を聞いたとしても、僕はその話を聞けない、今はまだ、受け止めきれてなくて、何もできない…、苦しいんだ…、ねぇ、お願い…、少しで良いから…、待って…」
むつ「…」
マキ「お願いします…」
百目鬼さんのことを考えると、胸が苦しくて息ができない、だから、何も整理できてない。もう一度話すにしても、何もできない、きっと、百目鬼さんを見た瞬間泣いちゃうよ…
修二「むつ。話し合うのは本人達だから、マキの気持ちを待ってあげよう」
むつ「……」
むつは、ムスッとしたままだったけど、修二の言うことは聞くんだろう。むつはドアノブを握っていた手を離した。
そして僕の前まで来て、うんこ座りで大きくため息つきながら言った。
むつ「だったら、俺たちんとこ泊まりに来いよ。また消えられたらムカつくし、俺、スッゲー心配したんだぞ」
むくれながら、優しく言おうと努力して目を泳がせながら言ったむつは、僕に手を伸ばす。
むつ「ほら、こいよ」
僕はむつの手を見ながら瞬いて、むつの顔を見上げて瞬いた。
修二「マキが嫌じゃなかったら、僕たちの所においでよ、もう夏休みだから、僕はほとんどうちにいるし、むつは自営業みたいなもんだから、融通きくし、華南も少しなら夏休みあるから、ね?」
フワッと笑う修二は、本当に優しくて幸せそうで、僕の理想で…、思わず泣きそうになって飛びついた。
マキ「修二ぃ〜!」
ギューッと抱きついたら、優しく抱きとめてくれて、堪えきれない
隣でむつ君が…「おい!今の俺に抱きつくところだろ!」って怒ったけど、そんなむつ君が「ッたく」とか、うんこ座りでため息つきながら、僕のほっぺに人差し指をプスってさして、優しい目をしてニカッと笑うんだ。
むつ「やっぱ、泣き虫じゃん」
俺が正しかったって喜ぶむつは子供みたいで、おかしくて、嬉しくて、ジンとした。
だから…
泣いたんだ。
子供みたいにワンワン泣いた。
泣いたら泣いたでむつ君はオロオロしだして、修二はお兄ちゃんみたいにヨシヨシしてくれた。
僕は、バカみたいに泣いた。
「好きなのに」「離れたくない」って何回も何回も言いながら、子供みたいにワンワン泣いたんだ。
修二が優しく抱きしめてくれて、むつはオロオロ僕の頭を撫でる。
悲しいのと嬉しいのと…ぐっちゃぐちゃ
感情を我慢しないでワーワー泣いたの…
いつ以来だろう?
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