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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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マキとのお風呂はなんだかすっごく恥ずかしい。
だから、お互い腰に手拭い巻いてるんだけど、なんだろう。マキのは隠してる方が非常にいやらしく見える。スラッとした綺麗な足のせいだろうか?
マキ「あは♪何ジロジロ見てんの?僕の足見てドキドキする?」
マキはニコッと笑いながら、太ももの手拭いを指先を滑らせてツツっと持ち上げる。
修二「ドキドキっていうか…見ちゃいけないもの見てる気がして…」
マキ「キャッ♪、禁断な妄想♪」
修二「もう、ふざけてないで洗うよ」
僕ちゃんがスポンジにボディーソープをつけようとしたら、マキはすでにボディーソープを付けて、僕ちゃんの背中に直せつ触ってきた。
修二「わっ!ちょっちょっと」
マキ「修二のお肌スベスベ〜、ふふふ」
そう言いながら僕ちゃんの背中を撫で回すマキ、っていうか、僕の肌じゃなくてマキの手がスベスベなんじゃないの!?
修二「あっ…、ほら、ふざけてないで洗うよもう!」
マキ「あはは♪、はぁーい」
ようやく大人しくなったマキにスポンジ持たせてお互いに背中を流しっこ。
マキは時々変な触り方したりして、からかってくるから、擽りで反撃しといた。
ひとしきりふざけながら洗い終わると、マキが湯船のぬるま湯に浸かり出す。おいでおいでされたから、とりあえず入ってみた。お互いのが直で見えるのはアレなので濁り湯の元を混ぜて白くした。
向かい合ってゆったり腰まで浸かったが、マキは僕ちゃんを伺うようにヘラヘラ笑いながら近寄ってきて、僕ちゃんの胸に背中を預けてもたれる。
僕ちゃんの目の前にあるマキのうなじは真っ白で、百目鬼さんに貰ったっていうネックレスのテェーンが光ってる、その左肩には、転がり込んできたばかりの時にあった歯型が無くなって綺麗になってた。
マキ「ねぇ、修二」
マキは僕ちゃんに背中を預けて前を向いてるから表情は見えない。
修二「なぁに?マキ」
マキは、湯船の中で体育座りして、僕ちゃんにゆったり体重を預けた。
マキ「百目鬼さん…修二に何か言ってきたりしてる?」
言い方は、何気ない風を装っているけど、その質問の答えを聞くマキは、胸が張り裂けそうに違いない。
僕ちゃんはそうと知りながら、真実を話す。
修二「〝僕の所には〟言ってきてないよ」
マキ「…そっ…か…」
儚いその声は、全てを悟ってる。
その気持ちを飲み込もうとしていた。
修二「マキからは、行かないの?」
マキ「……二度と、会いたくないって言われたんだ」
修二「それは、マキにも原因があるんだよ」
出来るかぎり優しく出来るかぎり伝わるように真っ直ぐ。
修二「百目鬼さんの言ってることの半分は正論だよ」
マキ「うん、分かってる。でもさ、百目鬼さんのことは誰が守ってあげるのかと思って…。百目鬼さん、自分で思ってるほど強くないし、不器用だし、ずっと苦しんできた…」
マキのは言いたい事はよく分かる。だけど、その考え方じゃ平行線だ。
マキ「もちろん!修二にした事は、許されることじゃない、そこは、ずっと背負って行くべきだと思う。
…だけど、それを利用して百目鬼さんを苦しめる奴が居るんだ。そして百目鬼さんは、僕と居る限り、その罪を目の前に掲げられてるようで、辛いんだ。僕が言いよったばっかりに…」
修二「…百目鬼さんは、いい大人だよ。自分でマキと付き合う事を選んだんだよ」
マキ「…先にエッチしちゃったから、今となっては、もう分からないよね…」
マキは、湯船で足を伸ばし、お湯に肩が浸かるようにズルズルと下がってく。
修二「大事な事を言わない百目鬼さんが悪いけど…。
僕ちゃんとむつと華南は、誰かさんのせいでエッチから始まりましたけど」
マキ「ふふふ、アレはああなって良かったろ?あのままじゃ、華南がいずれむつに手を出して、修二は見てるだけだったはずだよ。
まぁ3人で上手くいってても、修二の性格からして、快楽に溺れただけで高校の間だけだって思い込みそうだけど。君の愛するむつと華南は、友達を性欲処理の道具に使うような人間じゃない」
湯船に寝そべるように肩まで浸かって僕ちゃんを見上げるマキは、ニコリと微笑んだけど、そのセリフ、そっくりそのままお返しする。
修二「百目鬼さんだって、そうでしょ?」
マキから笑顔が消えて起き上がる。僕に寄っ掛かるのをやめて、真ん中で丸まった。
マキ「百目鬼さんをそんな風に思ったことない。僕が勝手に…」
修二「マキが勝手にしてたとしても、付き合ってたんだから、お互い、付き合いましょうって付き合ったんだから、マキが言いよったとか跨ったとか関係ないでしょ、百目鬼さんは、マキと一緒に居る事を選んだでしょ?」
マキの気持ちは分かる。
僕も、むつと華南の気持ちが信じられなかった。奇跡を見てるようで、信じた後、夢が覚めたらと思うとゾッとした。
マキ「…百目鬼さんは、僕と一緒にいてくれるって言った。僕を理解したいと言ってくれた…。だけど…。百目鬼さんは僕とじゃ駄目なんだ。初めからわかってた…、僕の存在は百目鬼さんを苦しめる。彼の理想を壊す。それに…きっと…」
修二「〝本当のマキを好きにはならない?〟」
静まり返った浴室に、沈黙が流れた。
長い長い沈黙は、マキに脳裏に何を思い巡らせているのか。
マキの気持ちはよく分かる。僕ちゃんも、むつと華南が信じられなかった。卒業したら、終わってしまうと思ってた。
だけど、終わらなかった。僕の秘密全てぶちまけても、むつも華南も引かなかった、引くどころか、離さないってがっちり掴んで、僕ちゃんが信じるまで「好きだ」と言い続けてくれたし、今も、言ってくれる。
僕ちゃんには、百目鬼さんの気持ちも分かる。「好きだ」って言ったら、壊れちゃう気がするんだよね。
だけどさ、やっぱり、気持ちは伝えないと、こうして疑心暗鬼するんだ。
修二「マキは、百目鬼さんが好きでもない相手とホイホイ付き合うように見えるの?」
マキ「…そんな事言ってない」
修二「確かに、気持ちを言わない百目鬼さんが悪いけど。マキは、百目鬼さんはどうでもいい相手と付き合ってデートしたり。SEXしたり、プレゼント買ったりすり人なの?」
マキ「…そんな風に思ってない、百目鬼さんは、僕のこと大事にしてくれた。それにSEXは僕が跨ってしてた訳で、百目鬼さんのせいじゃない」
修二「百目鬼さんにだって性欲はあるよ、マキが跨るように仕向けてたかも」
マキ「百目鬼さんは、そんな事しない。SEXすると暴走するからってずっと拒んでた。僕がいけないんだ、会うたびに隙あらばって思ってた。百目鬼さんはずっと、肉欲に溺れない穏やかな付き合いを目指してた。だけど、そんな修行じゃないだ、仕事でストレス溜めて、人間関係も気を使って、さらに僕にまで気を使って我慢してたら百目鬼さんが辛くなる。だから、僕に出来ることをした、僕になら何しても壊れたりしないから。だけど…逆効果だった。僕じゃ、百目鬼さんの癒しにならない…、百目鬼さんは僕とSEXするたびに、乱暴したって落ち込むんだ…」
修二「乱暴するの?」
マキ「乱暴なんかじゃない!情熱的に抱いてくれてるだけだよ。言葉攻めとかするけど、全部嫉妬の類だし、嫉妬してくれるって、僕にとってはご褒美以外の何物でもない」
修二「じゃあ。なんで好かれてないなんて思うの?
確かに百目鬼さんは口にしなかったのかもしれないけど、大事にしてもらって、嫉妬もして、好かれてるんじゃないの?」
優しく問うと、マキは、悲しそうに瞳を揺らし、僕ちゃんを見た。
マキ「…修二には…勝てない…」
え?
マキ「僕じゃ…修二に勝てない…」
何言ってんの?
マキ「…修二のように好きにはなって貰えない…、手放したくないほど好きだとは思ってもらえない…」
修二「そんなことない!」
マキ「ううん、現に今、百目鬼さんは僕を手放した。それが僕のせいだって分かってるけど、百目鬼さんの1番が僕じゃないのは分かってる」
修二「百目鬼さんは!マキが大事だから…」
マキ「うん♪分かってるよ、僕が自分勝手だからこうなった。別に屁理屈こねてるわけじゃないよ、百目鬼さんにも、むつにも修二にも華南にも怒られたし、奏一さんにも怒られた。そこは反省するし直す」
修二「百目鬼さんは、マキのこと誰より好きだよ!」
僕じゃ意味がない。
僕が言っても意味がないと分かってた。
だけど言わずにいられなかった。
マキは、体育座りした膝に顔を可愛らしく横にして僕の方を向き、儚いキレイな顔で微笑んだ。
マキ「百目鬼さんは、僕のこと大事にしてくれた、それは確かに百目鬼さんなりの愛情だった、それは信じてる。今回のことで危険から遠ざけたいから僕と別れたのも分かってる…、僕が招いた結果。
…だけどね、離れてもいいって思われちゃったんだ…。それに…百目鬼さんが言ったんだ…、僕が一番になる事はないって…」
修二「そんなの別れるための嘘に決まってる」
マキ「ううん…、ずっと前、…別れるよりずっと前、……僕、2番目でも3番目でも、側にいられればそれで良かった…。
だけどね、僕がダメになっちゃったんだ…、百目鬼さんの一番に、なりたくなっちゃった…、僕が言ったのに、一番は別の人でもいいって…」
…。
マキ「百目鬼さんの一番になりたくなっちゃった♪。百目鬼さんには大切な人がいっぱいいるけど、修二や奏一さんや、お母さんや、仲間達。全部の一番になりたくなっちゃったんだ…、僕が、百目鬼さんを独占したくなっちゃったんだ♪」
そう、儚い笑顔でニッコリキレイに笑ったマキは、嬉しそうで悲しそうなそんな複雑な表情でそう言った。
静かな浴槽には、ポチャン、ポチャン、と雫が波紋を作ってる音だけに包まれる。
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