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ー芽生え歌うーその後4
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翼君には、「みみちゃんには絶対言わないし、何かあったら相談にのるよ」って連絡先を交換した。
翼君は、顔を赤くして、何度も何度も「すいません、ありがとうございます」って頭を下げてた。
翼君との話で、神さんが未だに修二への罪悪感に苛まれ、そして、いかに困ってる人をほっとけない人だって分かった。
もしかしたら、僕の友達の弟さんだったから、っていうのもあるのかな?でも、神さんいつでも優しいし…
神さんは、きっと、翼君の話を聞いて、僕の事を考えたんだろう。翼君の言葉を僕が聞いたら、傷つくかもしれないと思ったのかもしれない。
〝昔の好きな人が今も心の中にいて、どっちを本当に好きだてのか〟なんて、気にすると思ったのかな?
そんな事かなぁって思ったけど。
…確かに、本当に少しも気にならないのかって言われたら、気にならないとは言えない。
僕は修二の事も、奏一さんの事も知ってて、あの2人がどんなに素敵な人間が知ってるし。
僕だって修二と奏一さんは大好きだし、誰かを大事に思い続けることが出来る神さんの事も大好き…
翼君に、中学時代性癖に迷子だった修二を重ねてほっとけなかったのかな…
僕にまで気を回して、関わらせないことで傷つけまいとしたり、僕にユリちゃんのこと言われても、翼君の相談事は隠したまま、僕の誤解を解こうとしたり。
色んなこといっぺんにやったら、不器用なんだから上手くいかないのに、誠実で優しい人、自分1人抱え込もうとする人。
神さんに、会いたくなった。
そんな切ない気持ちで、神さんにメールでもしようと思ったら、僕の携帯には、むつからの苛立ちにも似たメッセージだらけ。
あっ、翼君に会ったから返信するの忘れてた。
テヘ♪
そういえば、華南は元気になったのかな?
まだおセンチちゃんなのかな?
あんなにラブラブに見えて、悩むこともあるんだなぁ。ってか、華南の場合、贅沢な悩みだよね。
取り敢えず、むつにメール返しておこうっと♪
*******************
百目鬼「オイッ!マキ!!貴様、翼と2人で会ったってどういう事だ!!」
出張から帰った神さんは、開口一番ブチ切れ気味に僕に詰め寄った。
マキ「あはは、そんな怒らないでよ♪偶然会ったんだよ♪」
百目鬼「偶然だと?俺がいない間に、2人っきりで会っといて偶然だと?」
鬼の形相で睨む神さん。僕は顔を見てからこの話をしたかったから、あえてメールしなかった事が裏目に出てしまった。
マキ「本当だよ、それに、僕を連れ出して2人っきりにしたのは翼君の方だし、僕はパニック状態の翼君を落ち着かせようとしただけだよ」
百目鬼「それで?ご丁寧に連絡先を教えたのか」
ワオ。そこまでバレてるの?
もしかして、翼君が言ったのかな?
マキ「…ユリちゃんと会った理由聞いたよ」
百目鬼「!!」
ユリちゃんの事を言った途端、僕に噛みつきそうだった神さんが動揺して顔を背けた。
マキ「BL本に興味あるって事は、ホモなのかもって悩んだ翼君に、ゲイってどんなものか教えてあげるためにユリちゃんを呼んだんだって?」
翼君はきっと、ゲイじゃない。
本当にBL本に興味があるだけだと思う。
話を聞いて、答えてあげればきっと翼君も納得したろうけど、神さんは自分の口が悪くて、上手く説明できないから、自分より適任をって探したんだ。
百目鬼「……」
マキ「自分もゲイだけど、上手く説明してやる自信がないから、優しそうなユリちゃんを選んだんだって?」
百目鬼「…あぁ」
マキ「僕に言ってくれれば良かったのに」
百目鬼「お前はダメだ」
マキ「どうして?僕なら適任じゃん、思春期の扱いにも慣れてるし、みみちゃんの友達だし、優しく説明できたよ」
百目鬼「優しくして!。ッ…それで、お前を好きになられたら困る」
えっ?…
百目鬼「キョトンとするな!お前はモブ取りホイホイだ、翼に優しくしたら、翼がお前に惚れない訳ない」
ブッ、…アハハハハ。
何?嫉妬?嫉妬だったの?
アハハ…っ…っ…
もう、恥ずかしいよぅ…
百目鬼「かと言って、菫の店の化け物に会わせるわけにもいかないし、あんなのに会わせたらトラウマになりかねない。そしたら賢史が丁度ユリさんと知り合いで、…ユリさんに事情を話したら快く引き受けてくれて…」
マキ「でもさ、BL本読んだからってホモってわけじゃないって言ってあげれば良かったんじゃない?」
百目鬼「男がいけるか悩んでるなら、本物を知る方が手っ取り早い」
極端というか、真面目というか…
マキ「それで?、ユリちゃんと会わせて、翼君スッキリしたって?」
百目鬼「…、だいぶ過激な話をされて引いてたな…」
あはは…、ユリちゃん世話焼きさんではあるけど、悪戯っ子だからなぁ…。
結構エグい話して、脅かしたんだろうなぁ…。
ユリちゃん、つよしに男を落とすテクとか仕込んじゃう人だからなぁ…。まぁ、基本優しいんだけど。
百目鬼「…マキ。…翼とは、他に何か話したか?」
マキ「ん?、あぁ、神さんが曾祖父様について説明に来てくれたって」
百目鬼「ッ!…」
マキ「神さんが、とても親切で優しい人だって話を聞いたよ♪」
ニコニコする僕に、神さんはなぜか激しく動揺してた。
マキ「何をそんなに焦ってるの?」
百目鬼「他に…何か言われなかったか?」
マキ「ん?…」
他に?
なんか神さんが困るような事言ってたかな?
百目鬼「…聞いてないならいいんだ」
マキ「なにそれ、すごい気になるんだけど」
もし、翼君にバラされたら僕が困る事なら言ったけどな♪
『いるよ。心から好きな人、愛する人が』
なーんて、愛してるなんて、恥ずかしくて神さんには言えないけどね♪
百目鬼「…結局、首突っ込んだなマキ様は…」
マキ「あは♪僕って、そういうのによく出くわすんだよね♪」
百目鬼「モブ取りホイホイだからな」
神さんが、苦しそうな顔して僕を抱きしめ直す。
僕には分かる。神さんが今なに考えてるか。
マキ「…僕を、傷つかないように遠ざけたんだよね」
百目鬼「…」
優しい優しい神さん。
大好き。
マキ「ふふふ♪神さん気にしすぎ、僕は平気なのに」
大事にしてくれるのは嬉しいけど、大事にして神さんが悩んじゃうなら意味がない。
百目鬼「そうやって笑う…」
別に、ヘラヘラ笑ったつもりはない。
無理してるわけじゃない。
だけど神さんは、悲しそうに困ったように僕の両方のほっぺを片手で潰すように摘んで、ブニッと尖った僕の不細工な唇に、甘やかすような優しいキスをした。
マキ「はぁん…ン…ぅん…」
な…に…?
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