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10月の海、2にしおりをはさみました!
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10月の海、2
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修学旅行2日目、はじめて班行動を自ら乱した。
唯斗は自由行動で清水寺を選んだけど、たぶん他にも好きなところがあるなと思っていたからそこに行きたかったって言うのもあった。自分でもらしくない行動をしたと思う。
唯斗が連れてきてくれたのは下鴨神社。
とても静かで穏やかなところだった。
そこで、やっと唯斗は俺が唯斗を好きだと知った。
俺はこの先に言われる言葉を待ってんの、なのに唯斗は何も言わないから急かしてやった。
そうして出てきた言葉はキスさせてください。
ちげーだろ。それは付き合ってから。
そっちの言葉が聞きたいからもう一回やり直し。
次はちゃんと言ってくれた。
そう、この言葉が聞きたかった、この言葉を待ってた。
そのあと懲りずにキスしたいって言ってきたけど、それは受け入れた。境内だ、とか外だ、とか人目が、とか今は気にならなかった。
最初っから俺にキスしたいって言ってたから、すっげえがっつくのかな、と思ってたら全然違った。
はじめて触れてきた唯斗の手。びっくりするくらい優しく触れてきた。
両手で顔を支えられるようにして唯斗を見る。
この穏やかで静かな、優しい顔は俺だけのもの。目を閉じて唯斗を待つ。すごく優しく触れてきて、暖かさを残して去っていった。
唯斗は、好きな人に触る時。
壊れ物を扱うように触れるらしい。
そうして触れるのは、俺にだけでいい。
海くん、すっごくすっごく大切にするね
そこまで言葉に出すのは恥ずかしくて、俺も、とたった3文字しか返さなかったのに、唯斗はその笑顔をより深く、優しくした。
いつも穏やかで静かな、優しい笑顔。
もっと優しくなるなんて知らなかった。
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