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商品 5にしおりをはさみました!
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商品 5
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廃棄品ねぇ。
なんとなく足がその檻に向いていた。
檻の中には5人いた。みんなメソメソ泣いている中、1人だけ隅の方で膝を抱えてぼーっと座っている奴がいる。
そいつを見た瞬間脳裏をよぎった記憶に体が固まった。
嘘だろ?こんな所にいるはずない。
なんで、なんでお前が………。
「………マシロ?」
俺の声に反応してそいつはゆっくり顔を上げた。
いや、違う。あいつじゃない。
よく見てもわからないほどあいつと似ている。
でも違う。あいつはこんな目はしない。
光の灯ってない死人のような目。スーツの男やオーナーなんかよりよっぽど作り物みたいで気味が悪い。
顔がありえないほど似ているぶん、余計に”マシロ”との差が浮き彫りになって違和感がまとわりつく。
なんとも言えない不快感があるのに目を離せなかった。
「どうかされましたか?」
「いや……あいつも棄てるのか?」
俺の視線の先にある奴を確認すると、眼鏡は「ええ」と頷く。
「今日中には処分でしょうね」
「棄てるなら俺に譲ってくれないか?丁度実験体が欲しかったところなんだ」
「構いませんよ。もう商品ではないのでお代も結構です」
適当に口にした口実を特に気にした様子もなく、眼鏡は檻の鍵を開けてそいつを出した。
改めて近くで見ると本当によく似ている。
眉間から右頬の下まである1本の切り傷を除けば、見たところ大きな傷は無さそうだ。
傷があったところでこいつは”マシロ”ではないから別にどうでもいいのだけど。
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