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18歳以上ですか?
* Scent.2 *にしおりをはさみました!
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* Scent.2 *
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「ミルクと砂糖はお入れしますか?」
「ううん。どっちも結構です。ありがとうね、立花君」
「……こちらこそ、ありがとうございました」
無愛想だと捉えられないように、ほんの少しだけ声のトーンを上げて接客をこなす。
目の前のスペースを利用せずに、涼風はテイクアウトしたコーヒーを手に持って去っていった。
「涼風さん。絶対に立花さんのこと狙ってますよね……!」
「狙う? でも、昨日から続けて来てくれてるなら、二葉君のことが気になってるんじゃないかな」
「えぇ……何で立花さんそんなに鈍感なんですか」
昨日のシフトは休みだったし、2日続けて来る理由で思い当たるとすれば接客態度のいい二葉の存在だ。
実際にオメガの二葉目当てで、ここの学生が訪れることはしばしばあった。
アルファやベータに言い寄られることに免疫のない二葉は、いつも泣きそうな顔をして立花に助けを求めるのだ。
散々そんな目に合っているのに、わざわざ首輪を晒したり目立とうとする心情が分からないし、理解のずれは苛立ちに変わっていく。
「でも涼風さん、優しいし格好いいですよね。ちょっと好きになりそうかも」
曖昧な好意を口にして、わざと焚きつかせようとしているのだろうか。
何故か二葉の一言が、「何でそんなに鈍感なんですか」という台詞よりも、立花の心をじくじくと刺した。
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