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27 真夜中の訪問者5
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突然の来訪者が去って、翌日。
何もしらない関口は上機嫌で帰宅した。
「ただいま~!」
蒼に逢うのは数日ぶりだが、彼にとったらそれはえらい長い時間に思えていたようだ。
元気一杯に玄関を開ける。
しかし、圭一郎に連れまわされたせいで、まだまだ眠い蒼は、うつらうつらしていた。
「お、お帰り」
瞳を擦りながら身体を起こす蒼。
「蒼~!逢いたかったよ~って。あれ?嬉しくないの?」
自分とは対照的な反応に、関口は首を傾げる。
「へ!?そんなことはないよ~!本当に。関口が帰ってきて嬉しい!おれ」
蒼は慌てて笑顔を作る。
昨日の夜のことが、引っかかっているのは事実だが。
関口に余計な心配はかけたくない。
「蒼……?」
なんだか無理に笑顔を作っているような気がして、関口は違和感を覚えた。
どうしたのだろう。
なにかあったのだろうか?
不眠の身体をおして、元気よく飛び起きる。
「疲れた?なにか食べる?それとも、ちょっと休む?」
活動を始めようとして、不意に手を引っ張られる。
「わわ!」
思いっきり引っ張られたから、彼の身体は反動でベッドに倒れた。
「関口?」
「蒼」
ぎゅ~っと抱きしめられると苦しい。
「ちょ、ちょっと!」
「蒼、どうしたの?なにかあった?」
「なにもないって。ただ……」
「ただ?」
圭一郎の言葉が思い出される。
秘密だよ。
そう。
昨日のことは関口には秘密。
「ただ、眠いだけ」
蒼の言葉に関口は、瞳を瞬かせる。
「へ?」
「昨日、関口が帰ってくるのかと思ったら、どきどきして眠れなかっただけ!」
彼の答えに、関口は笑顔を見せる。
「蒼が眠れないなんて。ありえないだろう!?」
爆笑している関口。
とりあえずごまかせたからよかった。
蒼は安心して、関口の腕に身体を預ける。
本当は眠い。
このまま寝ていたいのだ。
「蒼。ありがとう」
「なんで?」
「いや。こうして、帰りを待っていてくれる人がいるのって、いいなって思ったからさ」
「そうかな?……そうだよね。おれもそう思うよ」
再びうつらうつらしている蒼の様子に苦笑して、関口もベッドに横になる。
「ちょっぴり寝たらちゃんと起きるんだよ」
「わかっているって……」
もうすでに夢の中の蒼の言葉。
最後の方はもう聞き取れない。
自分の腕の中で眠ってしまった蒼の頭を撫でる。
「はあ~。本当はあんなことや、こんなことしたかったんだけどな」
自分で呟いてから苦笑してしまう。
そんなこと。
エッチ嫌いの蒼に言っても仕方がないか。
彼はこうして、一緒に肌を寄せ合っているのが好きみたいだし。
惚れた弱みだ。
無理強いできないのは難点だなと思った。
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