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◾️けだも日記2
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「けだも。これが終わったら遊んであげるから。おもちゃはどこかにおいてきなさい。じゃないとこれで吸っちゃうよ?」
それは困る!
おれは慌ててねず公をベッドのところ、枕のしたに隠した。
ここなら安心だ。
ごお~っと低い音が室内に響く。
夜だから静かなんだ。
早く終わらないかな。
ベッドの上でわくわくして待っているけど、一向に終わる気配はない。
鼻歌なんか歌いやがって。
さっさとやればいいのに。
待ちきれない。
きょろきょろして圭の荷物を見つける。
そうそう。
これこれ。
ヴァイオリンケースの前に行ってそれに爪を立てる。
これ、爪研ぎにちょうどいいんだ。
それに。
これに手を出すと……。
「わ~~!!なにしてんの!こら!けだもッ!」
ほら飛んできた。
圭の弱点は知っているんだから。
もちろん、楽器にはやらない。
おれだってわかっている。
あれがどんなに大切なものかって。
だけど、ケースなら平気だろう?
おれを抱き上げベッドに戻す。
「もう少しね。待っててね」
もう少しってどんくらいだよ。
まったく。
退屈だ。
掃除に戻っていく圭を見送ってから再びきょろきょろする。
圭のかばんでもあさってみるか。
面白いものが入っているかも知れない。
そうだ!
携帯についているもこもこあったはずだ。
あれでも出して遊んでみるか。
ぴょんっと飛び降りてからかばんをあさる。
ごそごそやっていると、見慣れない小さな箱が出てきた。
なんだこれ?
かじってみる。
変な味。
美味しいものではない。
ざらざらした紺色のケース。
あけようと思っても蓋が重くて開かない。
手で転がしてみる。
それはごろんっと転がってベッドのしたに入った。
面白い。
さっと飛び掛ってさらに転がす。
ごろごろと四角い箱は移動する。
それを手でつつきながら更に追い詰める。
ベッドの下。
そう。
それはおれの秘密の場所だ。
中学生のガキかって?
違うよ。
そんな下らないものを隠しておく場所じゃないよ。
ここにはおれが、この家で集めたものがたくさんあるんだ。
キーホルダーのかけらとか。
小さい人形とか。
おもちゃのねずみとか。
おれの宝物がたくさんある。
その場所にその箱を運ぶとほっとした。
後で引っ張り出して圭に遊んでもらおう。
「けだも~!遊んでやるよ!」
圭の声に耳が反応する。
やった!
やっと順番が回ってきた。
おれはさっとベッドの上に飛び乗って、それからねずみのおもちゃを咥えて駆けていった。
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