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91.家族に病人がいるということ4
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打ち合わせは都内のホテルの一室で行なわれた。
ソファに座って待っていると、さきほどスクリーンに映っていた男、金子祐が入ってきた。
テレビで見たときは顔のアップだったので全身像のイメージが着かなかったが。
長身の体格のいい男だった。
「はじめまして。金子祐です。遅くなってすみません」
金子は愛想よく圭に手を差し出した。
「関口圭です」
多くは語らない。
こういう業界は狭いから。
たいてい、彼が誰の息子でどういう経歴でここに立っているか知っているからだ。
「競演、楽しみにしていました」
金子はそう言うと、圭を促して、自分もソファに腰を下ろした。
「こっちがおれのマネージャーの小西です」
金子の後ろに控えている男。
紹介されるまでその存在を知らなかった。
はっとして顔を上げると、そこには確かに男が存在した。
彼は金子とは対照的。
神経質を身体で表現したような男だった。
金縁の眼鏡に、きっちり撫で付けられている黒い髪。
顔色は蒼白に近い。
眼鏡のしたの眼光は矢のように鋭かった。
「はじめまして。うちのマネージャーは高塚といいます」
高塚は慌ててぺこぺこと頭を下げている。
小西とは対照的で笑ってしまう。
「た、高塚です。どうぞよろ、よろしくお願いいたします」
小西の雰囲気に飲まれている。
本当に、何年たっても新人なんだから。
「今回の企画をさせていただきましたふくふくコーポレーションの大内と言います。今回は、お忙しい中、わたくしどもの依頼を引き受けてもらいまして本当にありがとうございました」
そんなわたわたした様子を傍観していた初老の男が口を開く。
今回の依頼主だ。
今回は不動産関係を行なっている業者の企画らしい。
不動産関係は、以前は悪い印象が強かったが、最近では随分クリーンな感じになってきている。
社会的規範を逸脱したような団体からの依頼は受ける気はないが、なにも文句もつけられない相手の依頼は受けるまでだ。
今回は、この金子との競演もある。
半分、仕事だから……的に思っていたところ、意外にイメージがよくなった彼との競演。
少し楽しみな気がした。
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