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人間界での新生活か始まる
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小鳥のさえずりが聞こえる。もうすっかり日は昇っている様だが、カーテンが閉まっているので部屋の中が薄暗い。
先に目を覚ました勇は、怪我の痛みを少し気にしている。だんだん目が慣れてきて、レオのかわいい寝顔がはっきり見えてきた。
「レオのやつしっかり寝てるみたいだな。一緒に出かける前に、ちゃんとした服と靴を買ってきてやるか。あと下着も。」
数時間後、レオも目を覚ます。軽く腕を伸ばし、深呼吸をした後すぐ横を見る。隣にいるはずの勇がいないことに気がついた。
「あれ? 勇? トイレかな……。」
部屋の中がシーンとしている。レオは自分以外この部屋にいないのを理解して、なんとなく
不安になった。
「勇は出かけてるだけだよね…またぼく1人にならないよね……」
寂しい気持ちが襲いかかろうとしていたその時、玄関からドアが開く音が僅かに聞こえた。
静かな足音で居間に向かってくるのは、レオが期待した通りの人物だった。
「なんだレオ、起きてたのか。お前の服買ってきたよ。サイズの合わないおれのお古じゃ外出る時にみっともないと思ってさ。」
「よかった……。勇がちゃんと帰ってきてくれて。」
勇は見知らぬ人間界に来たばかりの少年をまた1人にして不安にさせてしまったことを反省した。出かける時に置き手紙1つぐらい残して置けばよかったと後悔する。
「勇、ぼくのために衣類を買ってきてくれたんだね! ありがとう!」
「なんのなんの。気に入ってくれるかどうか分からないけど、レオぐらいの年齢に合いそうなやつを選んだよ。よかったら試着してみて?」
レオはどんな服なのかワクワクしながら袋から服を取りだし、さっそく試着する。
もちろん買ってきてた物の中には新しい下着もある。さすがにレオも下半身を見られるのは恥ずかしいという仕草をした。
「ご、ごめん勇……。」
「あ……おれの方こそ気がつかなくてごめんっ! レオが着替え終わるまで玄関に出てるよ!」
勇は玄関で待っている間、レオが顔赤らめて可愛らしく恥じらう姿を思い出して少し危ない欲を感じた。
「毎度のことながらバカなことをおれは……。」
自分に対して説教し始めた勇は、着替えを終えたレオがドア越しに何度も呼んでいるのにまったく気がつかなかったようだ。
「すまんすまん! ちょっとボーっとしてて……。」
「どう勇、似合うかな? この服、個人的には可愛くて好きかも。」
レオは勇が買ってきた胸ポケットなしのネイビー色のポロシャツを着て、足首が見えるぐらいのオリーブグリーン色クロップドパンツを履いた。
初めて自分に合う人間界の服を着て、レオは全身ミラーの前で嬉しそうにくるくる回ってる。
「ほう…これはなかなか……。」
勇は人間界の現代ファッションに身を包んだレオを見て、まるで自分の家に中1ぐらいの美少年を連れ込み、危ない関係を築いているみたいじゃないかと思い、得体の知れない興奮を覚えた。
「レオ、お前かわいいな……。うぉっ鼻血がっ!」
「勇!ちょっと大丈夫!? なんかすごいスケベなこと考えてたような顔してたけど、それが原因なら自業自得だよ!?」
「ス、スケベなことなんて全然考えちゃいないさ!(大嘘)そうだ!早速一緒に出かけよう!レオが生活できるように色々買い出し行かなきゃな!」
「う、うん、仕方ないなぁ勇は(笑) とりあえず顔洗ったり歯を磨いたりしてから行くよ。」
勇の住むマンション近くには、スーパーや薬局、アパレルショップが豊富に揃うので、都内でも比較的住みやすい地区だ。さらに少しゴチャゴチャしてるが、様々な雑貨を扱う店や、食べ歩きを楽しむことができる活気に満ちた商店街もある。
「すごい……魔界は最近までずっと戦時下だったから、この物量には驚くよ。」
「まぁ、たまたま今のこの日本という国が比較的豊かなだけで、世界のほとんどは争いや貧困に苦しんでいるのが現状なんだよな。」
「そっか、魔界も人間界も同じぐらい様々な問題を抱えているんだね……。」
「うん……。さっ! レオの日用品もある程度揃えたし、ちょっと商店街でも散策しようか。」
勇はレオと一緒に唐揚げや伸びるチーズドック、タピオカなどを買って食べ歩きをする。
レオにとっては何もかもが珍しく、そしてとても楽しいようだ。
ただ一つ困るのが、道行く若い女性や男性がレオの美貌を放っておくことができず、スマホのカメラ撮影をお願いされるので、なかなか前に進めないことだ。
「うぅ…なんなのさ、あの人達は……。」
「レオはモテモテだな。でもお前かわいいから無理もないよな(笑) 」
気がつけば初夏の夕日が都会の空虚な空を赤く染めていた。レオと歩く家路はいつもと違って開放的な充実感があった。レオも昨日までの暗い表情はどこかに消えて、明るく勇と会話する。
「勇、今日は本当にありがとう! 昨日まで人間界は怖いところだと思っていたけど、勇のおかげで素敵な世界もあることが分かったよ。」
「おれの方こそレオに感謝してるよ。おれ人付き合いそんなに得意じゃないから基本的に1人でいつも行動していて、ちょっと寂しかったんだよな。あと、レオの明るくてかわいい笑顔が好き……かな。見てるとすごい元気になるよ。」
「ふふ、照れながら話す勇もかわいい(笑) 」
こうして、レオとの楽しい生活が始まった分けだが、いつまでも一緒にいると後々問題になることは勇も分かっている。
今のところ、レオの姉の手掛かりなんてほとんどないが、年齢は20歳で、容姿はレオ曰くレオと同じブロンドヘア、目は左右の瞳の色が違うオッドアイらしい。
日本にいればまだ絞りやすいが、海外ならかなり骨が折れるだろう。勇はSNSも活用して、空いた時間を最大限に使って探そうと考えた。
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