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05にしおりをはさみました!
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05
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『うんめいいでんしってなあに?』
『それはね、すごく惹かれあう人どうしが持ってるものなのよ。』
『なにそれぇ、わかんなぁい…』
『ふふ、ちょっと難しいわよね。いつかわかるときがくるわ。それが、運命なのよ。』
*
ピー、という甲高い音で、レイはハッとした。
随分昔のことを思い出していた。
しかし、今はそんなことより音だ。
あの音は、Ωだけに聞こえる笛の音だ。持っているのは番のいるαやΩ、位の高い独身Ω、そして王族の護衛官のうちのひとり。
今は深夜。今夜は新月で明かりも少ないのに、笛を使う必要のあるタイミングなどないだろう。
ましてその笛は緊急時護身用で、滅多に使われることはない。
そこまで考えて、ある仮説を立てる。
今、使うとしたら王族護衛官。わざわざ笛で連絡を取らなければならない状況。αだらけの護衛官どうしで、そんなことあるだろうか。
使うとして、何の目的があるのだろうか。
考えられるのは、他の護衛官に伝わらない形で、Ωに何かを伝えたい状況。
ピー、ピー、とまた音が鳴る。
Ωに連絡を取りたがる護衛官、国軍のα。
「イーリス……?」
ぽつりと呟いたのが早かったか、飛び上がったのが早かったか。
レイは目元に機械を装着し、遠方を見る。
「ちくしょう、奇襲だ!!」
すぐに大樹から飛び降り、拠点に入ると、緊急時用の警報を鳴らす。
地下にある要塞の入り口を開放し、起きてきたΩから順に、保護している者たちは皆、中に入らせた。
戦闘員たちには外に出てもらい、近所の街への扉を封鎖していく。
ここで、一度やりあうしかない。
もう軍勢はすぐそこだ。ここがバレたということは、王宮に送ったスパイもバレた。
イーリスがいち早く気づき、何とか知らせようとしてくれたのだろう。
「レイ、お前は戻れ。」
「あいつらの狙いは俺の生け捕りだ。俺は前線に立つ。お前こそ戻れ。街へのゲートは誰が守る?」
薬銃の装填をしながら、レイは機械の操作も行う。
敵の数はざっと30人。さすがに深夜帯のためか少ない。これなら一人でも十分だった。
「俺一人で耐えられる。いつも前線にいる俺がいなければ、イーリスが怪しまれる確率も上がる。襲撃を知らせたことがバレれば、計画は水の泡だ。」
「……わかった。」
キンッと高い音が鳴る。
目くらましのガスを出す手榴弾のピンをぬいたレイは、隊長が街のほうへ戻っていくのを追うように、それを投げた。
レイの後ろは白い煙が立ち込め、前からは足音が迫る。
レイは木の上で、彼らを待った。
「皆さんお揃いで、どこ行くんだ?」
「なっ?!」
「俺が夜眠らねえことも知らねえとは、王サマは馬鹿になっちまったのか?」
煽るようにそう言えば、後ろから殺気を感じる。
レイは一瞥もくれず、後ろに向かって小型ナイフを投げた。
「全員まとめて相手してやる。」
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