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出会いの話/寒凪⑴
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12月1日。火曜日。快晴。
空は青い。そして俺…綾木 澄晴の顔も蒼い。
まだ火曜だというのに、土日だけでは休まらない身体は鉛のように重苦しく、吐く息は白く淀んで俺の視界をぼかした。
選ぶ仕事、やっぱり間違えたかな。
そびえ立つビルの上階を見上げ、凍てつくような寒風に思わず身震いをする。
今日も始まるのか。…働きたくない。
通勤鞄を抱えて立ち尽くしていれば、肩の向こうから聞こえるのは朝も早くからテンションの高い同僚の声。
キコキコと音を立てるのは、これまた元気な学生が勢いよく漕ぐ自転車のチェーンだ。
俺には到底理解できない。
どうしてそんなに元気なんだよ。冬だぞ、朝だぞ。
これから箱詰めにされて仕事だの勉強だのを強制されるんだぞ。
……きっと、俺とは住む世界が違う奴らなんだろうな。
凍えそうになる足をやっとの思いで踏み出せば、カサリと擦れる道路わきの枯れ草。
霜枯れかな。
君たちも、きっと頑張って生きていただろうに。
騒いで肩を組むのが人間だというなら、俺は枯れ草で十分だ。
今日の昼休みはこいつと世間話でもして楽しもうか。
……いや、いくら昼だとはいえ寒いものは寒いな。
いつも通りデスクでインスタントラーメンを啜るのが関の山だろう。
「…はぁ~。」
再度視界いっぱいに白を纏い、今日も抗いようのない監獄への入り口に
自ら足を踏み入れた。
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