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リィンスタット王城4
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人工物めいた微笑みを絶やさずにいる少年に、王はやはり戸惑うように首を捻ったあと、はあと息を吐いた。
「あー……、お前さ、例えばの話なんだけどさ。ほら、お前の彼氏のロステアール王いるだろ?」
間違っても彼氏なんかではない、と思った少年だったが、それが本題でないことは判ったので黙っておくことにした。
「そのロステアール王がさ、国民のためにっつってお前のこと見殺しにしたら、どう思うワケ?」
「どう、と言われましても……」
どうも何もないのではないだろうか、と少年は思った。あの王は王であるが故に、迷いなく国民を選ぶだろう。それは当然のことだし、そうあるべきである。あの王ならば、きっと最後まで全てを救おうと奮闘するだろうから、そんな彼がどちらかを選ぶということは、つまりそうせざるを得ない状況になったということだ。そしてそうなったとき、捨てられるべきは少年の方である。
どうしてそんなことを訊くのだろうと思い、黄の王の顔を窺った少年は、しかし思っていた以上に王が真剣な眼差しをしていることに気づき、なんだか居心地が悪くなって目を逸らした。
「……愉快な気分では、ないと、思いますけど……。……でも、あの人ならそうするでしょうし……」
「ロステアール王を恨んだりとか、裏切られたって思ったりとか、そういうのはないのか?」
その問いに、少年はまたもや首を傾げてしまう。
「ええと……、裏切られてはいませんし、恨むようなことをされた訳でもないと思うので……」
そりゃあ、少しは悲しい気持ちになったりはするのかもしれないけれど、それだけだ。
「ロステアール王を責める気はないって?」
「あの、ですから、責めるも何も、責められるような選択ではないので……」
やけに食い下がって来る黄の王に、少年は途方に暮れてしまった。だが、黄の王はなおも追及の手を緩めようとしない。
「別に告げ口なんてしねーから正直に答えて貰いてぇんだけど、……ロステアール王に、国民だとか世界だとかそういうのより、それを捨ててでも自分自身を選んで貰いたいって、そうは思わないのか?」
周りくどい言い方を止めた黄の王が、とうとう核心へと切り込む。しかし、それを聞いた少年は途端、可哀相なくらいにさっと青褪めてしまった。
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