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みかんとはな②チュロス
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みかんとはな②チュロス
美容院を出て少し早歩き気味で歩いて数十分後。
体力のない僕は少し疲れたながらいつものカフェに入店した。
店の中に入ると店員さんがお出迎えしてくれた。
「おひとり様ですか?」
「い、いえ。先に来てる人がいるはずなのですが…」
そういうと店の奥の方から鋭い視線を感じた。
居た。担当さんの杉原さんだ。
店員さんに一声掛け、担当さんの方に向かう。
杉原さんは女性の方でメールでのやり取りでは
すごく優しいが直接会うと視線が鋭くて僕は少し
怖くて苦手。本人には内緒ね。
「すいません杉原さん。遅れました。」
「遅れましたって、全然遅くないじゃないですか。
…それより先生髪切りました?」
「ええ!先程美容院に行ってきたんです。さっぱり
しましたね。」
少し世間話をすると杉原さんの表情が少し緩む。
緩むって言っても無表情がほんの少し和らぐくらい
だけどね…
「ところで…進捗の方どうでしょうか。小説のジャンルとかまでは固まりました?」
「あ…それがそれもまだで…悩んでるんですよね…」
「うーん…まぁまだ全然大丈夫ですしゆっくり構成
を練っていきましょう。」
「はい…ありがとうございます。すいません…」
「謝ることはありませんよ。最近先生行き詰まって
いるようですし…あ、そうだ。ちょっと待ってくださいね。」
そう言うと杉原さんは持ってきたカバンの中を
ゴソゴソと探り始めた。
「あ、ありました。…はいどうぞ。」
「…これは…?」
杉原さんから手渡されたのは最近流行りの映画の
チケットだった。
「先生があまり見なそうなジャンルの種類を
選んでみました。良ければ見に行ってみてください。」
「映画…ありがとうございます!…これ映画代って…」
「あ、大丈夫ですよ。経費で落ちますので。
場所はわかりますよね、あの大型ショッピングモールの中にあります。」
杉原さんはいつの間にか頼んでいた、コーヒーを
口に含みつつそう言った。
どこまでも隙のない人だなぁ…
「場所はわかります。あれですよね。」
「ええ。あれです。
それでは、とりあえず今日の打ち合わせは以上
にしましょう。いいネタが浮かんだら企画書を
メールででも送ってください。」
その後僕は杉原さんは自分の分の料金をテーブルに
残し、そそくさと帰って行った。
僕は少しカフェに残り一休みすることにした。
何を頼もうかな…。テーブル脇にあるメニューを
パラパラとみる。
…これ美味しそう。
「あ、すいませんチョコレートラテ1つお願いします」
「はい。かしこまりました。」
すれ違ったイケメン店員さんにそう言い手持ちの
スマホで近くの映画までの道を調べる。
この街に来てから映画館なんて行ってないからなぁ
この街に来たのは大体三ヶ月前程。
引っ越してきたての頃は思い浮かんだアイデア
をすぐに書き留めねばと机の上のパソコンに向かい寝る間も惜しんで小説を書いていた。
…だからこの街に戻ってきて暫くはどこにも行けず家に引きこもっていた。
娯楽の施設なんかも行ってなかったなぁ。
水族館とかもここら辺にあるらしいし今度行きたいな。
映画のチケットを見ると放映日は来週の土曜日と書かれていた。
「今日は木曜日だから…一週間後弱か。」
スマホのカレンダーに予定を入れる。
最近の予定なんて全くなかったからカレンダーに予定を入れるのなんて久しぶりだった。
「お待たせしました。チョコレートラテです。」
「ありがとうございます。」
そうこうしている間に頼んでいたチョコレートラテが届いた。
よくメニューを見ていなかったがチョコレートラテにはチュロスも付いていたらしい。
「はぇー…お洒落だなぁ…」
チュロスを少しかじる。
「…!甘くない。パンみたいだ。」
メニューをよくよく見るとチュロスはチョコレートラテに付けてお食べ下さい…と書かれていた。
なるほど…
食べ進めつつ飲み進める。久しぶりの食事。
美容院に行く前に食べようと思ったのに忘れていたからよりいっそう美味しい。
チョコレートの仄かな丁度いい甘みと本場のチュロスの旨みがマッチしていた。
本場って凄い…
さて、数分後ペロリと食べ、飲み終え直ぐに会計
をしにレジに向かった。
カフェからの帰り道、空を見ると日が少し傾き
かけていたことに気がついた。打ち合わせの時は
まだ昼くらいだったのに、随分長くカフェに居た
んだろうなぁと空を眺めていた。
少し腹も膨らんだことだし…少し体力回復の為にも
近くの公園を歩くことにした。
さて僕の体はもつのでしょうか。
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